著者
シダラマパァ R. チロール A. 渡辺 巌
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.473-479, 1979-11-20

田面水あるいは湛水水田土壌の根のまわりに施したカルボフラン(2, 3-dihydro-2, 2-dimethyl-7-benzofuranyl methylcarbamate)の稲への吸収と体内移動および土壌中での残留について研究をおこなった.また, カルボフランの土壌中での分解におよぼす土壌の種類, 連続投与の影響も調べた.残留分析には気液クロマトグラフィ, 薄層クロマトグラフィ, および^<14>C同位元素法を用いた.田面水施用とくらべて, 根のまわりへのカルボフランの施用はカルボフランの土壌中での残留性をいちじるしく増した.田面水施用ではカルボフランはただちに稲植物体に吸収され, 地上部への移行がみられたが, 根のまわりに施すと, 稲への吸収・移行はゆっくりと進行した.稲に吸収されたカルボフランは主として葉, とくに先端部分に集積することがオートラジオグラフィにより認められた.植物の茎部分のカルボフラン濃度は常に低かった.土壌でのカルボフランの分解はおもに微生物によるものと思われ, 土壌のpHが低いほど分解がおそかった.