- 著者
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丸山 茂徳
横山 哲也
澤木 佑介
大森 聡一
鳴海 一成
ドーム ジェームズ
丹下 慶範
- 出版者
- 東京工業大学
- 雑誌
- 新学術領域研究(研究領域提案型)
- 巻号頁・発行日
- 2014-07-10
本計画研究班では、地球史研究から導かれる「生命誕生の器」としての原始地球表層環境を定量的に復元し、冥王代地球表層環境進化の過程を具体的に解明することを目的としている。H29年度の研究は主に5つのテーマで実施された。[1]生命誕生場と生命誕生のプロセスの解明:生命が誕生するためには、水があるだけでは不十分で、それ以外にも複数の環境条件が満たされることが必要である。そこで、諸条件の中から生命誕生場に必要な9つの条件を抽出してまとめた。[2]白馬地域の地質の継続調査と古環境の分類:冥王代類似環境としての白馬地域の特殊な水環境について比較分析し、水環境場を4つのタイプに分類した。白馬で特徴的な蛇紋岩熱水系温泉水は、高アルカリかつ水素ガスを大量に含んでおり、特に、H2を含むため貧酸素水であり、そのため冥王代型の微生物生態系が形成されていることが明らかになった。[3]オクロの自然原子炉の研究:ガボン国内の数地域で露頭周辺の調査を集中的に行い、最適と思われる掘削地点を三か所抽出した。[4]地球の起源と新たな太陽系惑星形成論の展開:太陽系進化の初期条件を決めるうえで、太陽系組成ガスから凝縮した最古の物質であるCAIの理解を深めることが重要である。そこで、始原的隕石ALLENDEに含まれる3種類のCAIに注目し、それらの核合成起源Sr同位体異常(μ84Sr)を高精度で測定した。その結果、μ84Sr値の大きさはFTA > Type B > FSの順であることが判明した。[5]継続的なブレインストーミングの実施:2件の国際ワークショップと4件の国内向けワークショップ実施した。