著者
新井 俊希 北村 和也 米内 淳 大竹 浩 林田 哲哉 丸山 裕孝 バン クイク ハリー 江藤 剛治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J94-C, no.9, pp.252-260, 2011-09-01

最高撮影速度が200万枚/秒の30万画素超高速度CCDを開発した.この超高速度CCDはフォトダイオードと読出し用垂直転送路の間にフォトダイオード1個につきそれぞれ144個のCCDメモリを配置した特殊な構造により構成される.全画素一斉の並列動作で信号電荷をCCDメモリに記録することで超高速度撮影が可能になった.超高速度CCDの最高撮影速度を見積もるため,フォトダイオード中の電荷の移動時間により制限される最高撮影速度と,CCDメモリに印加される電圧波形がなまり,電荷転送容量が低下しその結果飽和信号レベルが低下することで制限される最高撮影速度について検討を行った.その結果,電圧波形なまりに起因する飽和信号レベルの低下が最高撮影速度を制限する主要因であることが明らかになった.対策として分割駆動と配線抵抗の低減について検討を行い,いずれも効果的であることを示した.計算結果を踏まえて,分割駆動の分割数を8とし画素配線抵抗を2分の1に低減することを行った超高速度CCD-V6を新たに設計し素子を試作した.駆動評価実験の結果,飽和信号レベルは30万枚/秒まで100%を維持し,100万枚/秒において50%,200万枚/秒において13%が得られていることを確認した.200万枚/秒におけるダイナミックレンジは36.8 dBであり,映像信号6ビット相当が得られていることを確認した.