著者
フランス近代法研究会 江藤 价泰 瓜生 洋一 荻原 貞正 白石 裕子 星野 澄子
雑誌
大東法学 (ISSN:02870940)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.241-256, 1995-10-30

本稿は、引き続き第二部「人と家族」のうち、婚姻制度に関して、まずアンシャン・レジーム下における、教会法と王権の対立を解説する。教会法は多くの婚姻障碍(洗礼時の代父母と名付け子との婚姻、親族間の婚姻など)とこれを免れる特免制度(金員の支払い)を創設していたが、王権はこれらをすべて廃止し、家父長の権限を強化した。これは絶対王政を支えるために家をその基礎にしたからである。つぎに、婚姻を単なる契約であるとする革命家たちは王権の定めた絶対的婚姻障碍も廃止し、聖職者の婚姻も認めた。更に離婚についても容認する理論を展開していく課程を詳述する。
著者
フランス近代法研究会 江藤 价泰 瓜生 洋一 荻原 貞正 貴田 晃
雑誌
大東法学 (ISSN:02870940)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.327-335, 1996-03-30

本稿は、引き続き第二部「人と家族」のうち、立法委員会が提案し、憲法制定議会が1792年に制定したデクレについて詳述する。すなわち、そこには三種類の離婚原因が明記された。第一は法定原因である(心神喪失、有罪判決、虐待、遺棄など7項目が定められた)。第二は双方の同意(協議離婚)である。第三は性格の不一致である。第三の原因の場合には、親族または友人による会議が3回開催され、申し立てが認められても少なくとも1年はかかるようにされた。また待婚期間は男女共に1年とされた。さらに、1794年デクレでは、第一の法定原因については六ヶ月の不在または遺棄のみとなり、第三の原因についても短期間で離婚が可能となった。さらに待婚期間は女性のみ10ヶ月とされ男性については廃止された。