著者
ペルノ ジャック
出版者
京都外国語大学
雑誌
研究論叢 (ISSN:03899152)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.77-95, 2006

聖ニコラへの崇敬はもともと11世紀に始まり,13世紀まで続いた。宗教改革が聖者崇拝に致命的な打撃を与えたのである。その結果,聖ニコラはサンタクロースに近い民間伝承の人物となった。だが,彼の祝祭は祭りとしての影響力を大いに保っている。真の崇拝は,信仰と無信仰が混じりあう楽しい伝統行事,冬至の娯楽に取って代わった。そして彼の祝祭は今日,冬の謝肉祭同様,過度で消費中心の宴を引き起こしている。それは食べ物に満ち溢れ,立派に飾られた家庭的な宴であるが,無駄で,消費を招く宴でもある。これが本論の主旨である。