著者
イサハク ザカリア・アミデユ マハラジャン ケシャブ・ラル
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.143-147, 2013-06-25
参考文献数
7

気候変動が食物生産に影響が与えることは色々な研究によって明らかにされている。本稿では、ガーナの主要食物の収量において気候変動がどのような影響を及ぼすかを究明することとする。そのため、世帯調査の戸票データを用いて気候変数(温度と降雨量)が主要食物(キャッサバ、トウモロコシ、ソルガム、コメやヤム)の収量に与える影響について計量分析を行う。その際、確率的フロンティア生産モデルを活用する。その結果、緩やかな温暖化が顕著にキャッサバやソルガムの収量を増加させるが、米においては収量が減少することが判明した。農業投入材の利用は基本的に増収につながるが、農薬の投入時期や投入量が不適切であれば収量増にはつながらない。気候や投入材の他、農地規模、世帯規模、世帯主の性別、年齢、教育のような社会経済的要因が食用作物の収量に有意な影響を与える。ゆえに、本研究では、気候変動による食物収量への影響を最小限にとどめるため、化学肥料等の容易な確保につながる投入材市場の効率化、高温や干ばつに強い種子の普及、小農における効率的農薬利用の条件整備の重要性を指摘する。同様に、気候変動や技術に関する情報を効率的に農家に伝えるために普及員やコミュニティーラジオのようなメディアも活用すべきである。
著者
マオンガ ベストン・ビリー マハラジャン ケシャブ・ラル
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.270-281, 2003-12-25
参考文献数
25
被引用文献数
1

マラウィの農業は大農と小農に分けられる。前者は輸出用作物生産に特化し、後者は自給農業で大多数の国民の食糧を供給する。小農は依然として一期作を中心とした生産性の低い粗放的農業を行っている。ゆえに、近年小農において食糧確保が問題となっている。上記の研究課題を念頭にサンガチ農業区の実態調査を踏まえた事例分析を行ったところ、同地区においては1ha未満の農家は自らの食糧を確保できていないことが判明した。彼らの農業生産を取り巻く環境をそのまま放置しておけばこの現状は悪化する一方だと思われる。以上のことを踏まえ、本研究では小農の食糧生産事情を改善しその自給度を増大させるため、二毛作農業の体系とその可能性について検討した。その際、現地の農業環境、従来の農業、作物・作付けとの連続性ならびに農民の社会経済的状況、肥料・種子等の投入材の購買力、食糧のニーズ等の関係について検討した。その結果、農民的生産要素、農地、家族労働、伝統的知識を最大に活用しうる在来品種のトウモロコシとキャッサヴァの二毛作を軸にした農業が無理なく低コストで小農の食糧の自給度を高めることができることが明らかになった。このような農業を普及させるのがマラウィ農業の今後の課題となる。