著者
伊藤 裕之 須長 正治 レメイン ジェラード バスチアン
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、視知覚の様々な側面における順応と残効を調べた。たとえば、残像の形成、順応による形の知覚的変化、錯視的運動にあらわれる運動残効などである。我々は、残像は網膜上の光受容器の疲労パタンそのものではなく、脳活動を表すことを残像の形の変化から見出した。そして残像が現れたり消えたりするのは、脳内での視覚的要素間の相互抑制によることを発見した。また、運動残効の実験により、オップアートに見られる流れの錯視が、相対運動の検出によって決定されていることを示した。さらに、繰り返される動きに対するサッカードの学習についても調べた。これらの結果は、順応と残効がいかに脳の活動を知るのに有効かを証明している。