著者
ロナルド・H・コース 増田 辰良
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学法学研究 (ISSN:03857255)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.467-478, 2003-12-30

本稿は、R. H. Coase, 1974, The Market for Goods and the Market for Ideas, American Economic Review, 64(2), 384-391を全訳したものである。本稿は、アメリカ合衆国憲法修正第一条が保障する「言論・出版・報道の自由」を"アイデア市場"とよび、通常の財・サービス市場への政府介入との比較で、アイデア市場への政府介入のあり方を考察している。従来、財・サービス市場への政府介入は"市場の失敗"を補整することから正当化されてきた。ただし、この介入さえ正しい評価を受けていない。この論文において、コースは、アイデア市場は市場参加者(知識人など)の利己心と自負心に任せて自由に運営される限り、うまく機能する、という。また、アイデア市場への政府介入が許されるのは、財・サービス市場への介入が正しい評価を受けた場合である、という。