- 著者
-
脇坂 真彩子
Wakisaka Masako
ワキサカ マサコ
- 出版者
- 大阪大学大学院文学研究科日本語学講座
- 雑誌
- 阪大日本語研究 (ISSN:09162135)
- 巻号頁・発行日
- no.25, pp.105-135, 2013-02
タンデム学習とは、母語の異なる2人がペアになり、互恵性と学習者オートノミーの原則に基づいて、互いの言語や文化を学び合うという学習形態である(Brammerts, 2005)。 本 稿 で は 、ドイツと日本でのインターネットを介した遠隔のタンデム学習(Eタンデム)で学習を続けたドイツ人日本語学習者の動機がどのような要因によって変化したのかを検討した。研究方法には手段的なケース・スタディを用いた。研究協力者はEタンデムを実践したドイツ人日本語学習者Davidさんである。分析の結果、Eタンデム・プロジェクトにおけるDavidさんの動機は、1)自由に自己表現ができたこと、2)母語話者とのやり取りで言語使用や相手の文化を学べたこと、3)日本語の上達が感じられたことによって高められており、また、Eタンデム・プロジェクトとは直接関係のない要因からのストレスやプロジェクトの枠組みの負担によって下げられていたことが明らかになった。