- 著者
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大西 正俊
大月 佳代子
一條 尚
- 出版者
- 山梨医科大学
- 雑誌
- 試験研究
- 巻号頁・発行日
- 1987
本研究ではハイドロキシアパタイトの臨床応用、特に下顎骨再建について検討し以下の結論を得た。I.動物実験による検討成犬下顎骨による顎骨欠損部への補填実験の結果、下顎臼歯部15mmの欠損部の補填では約8週でアパタイト多孔体は近心、遠心両側からの気孔内に至る骨形成により埋めつくされる所見を得た。この場合の骨形成性は顎骨とアパタイト多孔体との固定に大きな関連性があることから、動物実験系での顎骨、頬舌側固定法であるダブルプレ-ト法を開発した。II.臨床応用-下顎骨再建症例の経過観察動物実験の結果をふまえて、臨床応用したアパタイト多孔体ブロックによる下顎骨再建例は現在までに29例、そのうち区域切除後の架橋補填7例での検討から、補填部の骨形成状態はX線所見、骨シンチグラムより推測しうること、またそのうちの1剖検例(73才女性)より高齢者に於ても骨形成が行なわれていることが明らかとなった。これらのことから、一定期間後のX線、骨シンチグラム所見から骨形成性を診断し、その結果によっては補填材としての再建プレ-トの除去が可能となる症例を経験した(35才男性、59才女性)。III.再建下顎骨に対する補綴的処置の検討下顎骨再建29例に対してはほぼ全例再建部への通常の補綴装置の装用を行っており、良好な結果を得ている。以上の検討より、アパタイト多孔体の補填部は骨伝導による骨形成が期待しうること、骨形成がある程度行われた時点で補強材チタンプレ-トの除去は可能で相応の物性が得られること、術式は骨移植に準じるが、人工骨との強固な固定が重要であることなどが確認された。本研究からもアパタイト多孔体は下顎骨再建用の人工骨として十分に臨床適用可能な材料であることが明らかとなった。