著者
沢井 芳男 外間 安次 鳥羽 通久 川村 善治
出版者
(財)日本蛇族学術研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985 (Released:1987-03-31)

本研究はヤマカガシ咬症の重症患者の治療血清の試作を行うためにヤマカガドウベルノイ腺から毒液を抽出し, ウサギ及びヤギを免役し, その血清を採集し, 硫酸ナトリウム, 硫酸アンモニウムによる分画及びペプシン消化法によってγ-グロブリンを分画精製し高力価の抗毒素を得た. その結果ウサギ抗毒素0.2mlは120μg(48mld)の毒量を中和した. またヤギ抗毒素0.1mlは220μg(73.3mld)の毒の致死を中和し, 216μg(47mhd)の毒の出血を抑えた. また抗凝固性は抗毒素0.05mlは119.3μg(108.5u)の毒による凝固を阻止した. また抗毒素の精製度については電気泳動の結果γ-グリブロンの単一のピークが得られた. しかし免疫電気泳動では抗ウサギγ-グロブリン(IgG)ヤギ血清に対し, ウサギ抗毒素は特異時的な反応帯が認められたが, 抗ウサギ血清に対してはγ-グロブリン以外の混入が認められた.なお本抗毒素にはさらに治療用毒素に必要な所定の検査を行い, 長期保存にたえるように凍結乾燥を行った. その間に発生したヤマカガシ咬症患者の重症例の治療に応用し, その治療効果を確かめることができた. すなわち本抗毒素は患者の出血性素因及び血液の凝固異常を速やかに回復し, 患者を治癒に導いた.
著者
森井 宣治(1987) 森井 宜治 宮内 太積 澤 洋一郎 松平 秀雄
出版者
沼津工業高等専門学校
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985 (Released:1987-03-31)

地上の転校に影響され難く, その敷設計画が既設の建築物によって左右され難い地下鉄網は都市部の安定した交通・輸送機関として重要である. その敷設の経済効率を上げるために地下鉄トンネルの径を小さくし, 閉塞率を大きくすることが求められるが, それは列車の運動によって誘起される気流, 列車風, を強くすることになる. 列車風は乗降客に不快感をもたらし駅部の空調負荷を増大させる. それは地下鉄系内の火災時における煙の挙動を複雑にし, 乗降客の避難や消化活動を困難にし, 被害を拡大する要因となり得る. 1987年11月18日, ロンドンのキングス・クロス駅で発生した火災は死者31名, 負傷者23名を出す大惨事となった. この火災においても, 列車風が火災規模を拡大した. 列車風の挙動をより正確に把握することが大きな人的, 経済的損害をもたらす地下鉄火災に対応するために必要である. 本研究の目的は, 列車の運動が誘起する地下鉄列車風の挙動を理論的にも実験的にも正確に把握し, 地下鉄計における換気, 空調及び防災対策等を検討する上で有用な設計指針を与えることにある. 本研究の主要な成果は以下の通りである. 1)トンネル内で運動する列車が誘起する気流の発生機構を理論的に解明した. 地下鉄列車の運動がトンネル内に誘起する気流の挙動を解析するために, 気体を理想気体とみなして基礎的な考察を行い, 列車風を1次元・圧縮性流体として取り扱う理論を提示した. 2)列車の運動と気流の挙動との関わりについて模型実験及び実地計測を通じて明らかにし, 理論の妥当性を検証した. 模型実験装置を用いて, 地下鉄構造・列車運行による列車風現象の相違点を明確にした. 実験データの自動処理をおこなった. また, 帝都交通鉄道営団・東西線木場駅にち, 実地計測を行なった. 3)地下鉄駅各部における火災を模擬した模型実験を行ない, 地下鉄系における防災対策を検討する上で, これらの理論と模型実験の有用性を示した.
著者
金川 弘司
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1983 (Released:1987-03-31)

生物材料や受精卵の凍結用に冷却曲線を自動的にプログラムできる装置は数種類開発されているが、これらの装置は植氷時の制御が不十分であり、試料を入れてある冷凍室を開放して、外部から冷媒や冷体で刺激を加えたり、氷晶片を投入したりして植氷を行っているために、冷凍室の温度が変動する欠点がある。また、植氷に伴う著しい温度の上昇がみられるのが普通である。これらの温度変動が凍結しようとする受精卵に何らかの悪影響を与えるものと考えられる。今回の研究で開発した凍結装置は、恒温槽、温度制御盤および加圧式液体窒素容器からなっている。恒温槽は、断熱槽、液体窒素槽、ヘリウムスペースおよびフレオン槽からできている。フレオン槽は気相部および液相部(フレオン11)の2つに分かれ、両部の冷却は液体窒素の冷熱によって行われる。液体窒素槽からの冷熱はヘリウムスペースに密封されている熱交換用ヘリウムガスによって、一定速度でフレオン槽内に伝達される。この冷却とフレオン槽内ヒーターの作動は槽内の温度を測定するモニター用温度センサーからの読み取りを通じてヒーター電流をPID制御(比例積分微分動作制御)する温度制御盤のマイクロコンピューターによって制御され、設定した任意の温度と冷却速度が保持される。この温度と速度は数段階に分けてキー入力できるようにプログラミングされている。気相部には凝固点温度(植氷)を予め検知できるように温度測定センサーが付属されており、液相部は温度勾配がほとんどないように撹拌機によって常に撹拌されている。本凍結装置は、植氷時に工夫を加えて、冷凍室を開放したり、外部から操作することなしに植氷を行い、植氷に引続いて起る温度上昇を1.0°C以内に抑えることができた。また、下降時の温度も変動範囲が0.1°C以内に制御できた。本装置を使用して、耐凍剤としての各種糖類および急速凍結法の検討を行った。
著者
大西 正俊 大月 佳代子 一條 尚
出版者
山梨医科大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987 (Released:1987-04-01)

本研究ではハイドロキシアパタイトの臨床応用、特に下顎骨再建について検討し以下の結論を得た。I.動物実験による検討成犬下顎骨による顎骨欠損部への補填実験の結果、下顎臼歯部15mmの欠損部の補填では約8週でアパタイト多孔体は近心、遠心両側からの気孔内に至る骨形成により埋めつくされる所見を得た。この場合の骨形成性は顎骨とアパタイト多孔体との固定に大きな関連性があることから、動物実験系での顎骨、頬舌側固定法であるダブルプレ-ト法を開発した。II.臨床応用-下顎骨再建症例の経過観察動物実験の結果をふまえて、臨床応用したアパタイト多孔体ブロックによる下顎骨再建例は現在までに29例、そのうち区域切除後の架橋補填7例での検討から、補填部の骨形成状態はX線所見、骨シンチグラムより推測しうること、またそのうちの1剖検例(73才女性)より高齢者に於ても骨形成が行なわれていることが明らかとなった。これらのことから、一定期間後のX線、骨シンチグラム所見から骨形成性を診断し、その結果によっては補填材としての再建プレ-トの除去が可能となる症例を経験した(35才男性、59才女性)。III.再建下顎骨に対する補綴的処置の検討下顎骨再建29例に対してはほぼ全例再建部への通常の補綴装置の装用を行っており、良好な結果を得ている。以上の検討より、アパタイト多孔体の補填部は骨伝導による骨形成が期待しうること、骨形成がある程度行われた時点で補強材チタンプレ-トの除去は可能で相応の物性が得られること、術式は骨移植に準じるが、人工骨との強固な固定が重要であることなどが確認された。本研究からもアパタイト多孔体は下顎骨再建用の人工骨として十分に臨床適用可能な材料であることが明らかとなった。
著者
清水 康敬 前迫 孝憲 坂本 昂 高野 綏 森 政弘
出版者
東京工業大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985 (Released:1987-03-31)

9.研究成果の概要(最終まとめ) 本研究は, 留学生が日本語を習得するためのCAIシステムの構築を目的としている. すなわち光ビデオディスクに書き込んだ画像を動画教材とし, パーソナルコンピュータによる提示画像とのスーパーインポーズの制御を行っているが, 機器類の操作を学習者が自らの意思でインタラクティブに行うことができるよう構成したことに特徴がある. 本システムにより, 学習者は主体的に学習に取り組むことが可能となった. 本研究により, 書き込み可能な光ディスクをパーソナルコンピュータで制御するためのソフトウェアシステムの構築と改善を行った. また, 世界有数のCAIオーサリングシステムであるPLATOシステムに, 本研究で実現したインタラクティブ制御機能を組み込む実験を行った. そして, これらのCAIシステムの学習コースを作成し, ビデオディスクに付加したインタラクティブな制御機能が, 学習成績と深い相関を持ってょいることを実証するなど, インタラクティブなCAI環境でビデオディスクを利用する際の基本的な要件を明らかにした. また遠隔教育における通信量の適正化を図るため, ビデオテックス・NAPLPSを利用するCAIシステムの可能性を調査し, 色再現性の支持等適切な制御を行うことで高い効果の得られることを確認した. そして入力インタフェースとしての手書き漢字入力装置の可能性について調査研究を行った. 今後は, 本研究の成果に基づき, 学習コースの開発と利用を進めていく予定である.
著者
下村 義治 吉田 博行 吉田 直亮 桐谷 道雄
出版者
広島大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984 (Released:1987-03-31)

前年度迄に開発製作した極低温中性子照射した金属試料の電子顕微鏡用の4.2Kクライオ・トランスファー・ホルダーを改良して現在9K迄試料装填部の温度を下げる事に成功し4.2Kに今一歩に迫る性能向上をはたした。更に本年度はこのホルダーの先端試料部にクライオ・トランスファー時に取り付ける真空チェンバーの製作を完了した。これらホルダーおよび真空チェンバーを装備して中性子照射済の試料を中性子極低温照射用クライオスタットからホルダーに極低温にて移し変えてクライオ・トランスファー・チェンバーで真空引きしたままのせて電子顕微鏡試料室まで移動するための車およびそれに関連する装置も完成した。回転ターゲット核融合中性子源(RTNS-【II】)にて照射のための装置を総て開発完了後,日米科学技術協力事業(核融合)の実験の実施のため本試験研究にて開発した装置は昭和61年4月米国ローレンス・リバモア国立研究所に送り昭和61年6月及び昭和62年1月の二度にわたり本研究代表者らが派遣されて極低温核融合中性子照射した金属試料の極低温クライオ・トランスファー電子顕微鏡観察法による中性子照射損傷の基本単位である変位カスケード損傷欠陥の形成直後の観察に成功して、損傷過程の基礎過程の解明に大きく寄与した。核分裂中性子による極低温照射した試料のクライオ・トランスファーのための試料クライオ移送室の開発も考え方の点ではほぼ終了しているが、一部装置の製作を経費不足の点で残している。現在米国より送り返されているクライオ・トランスファー装置の日本への致着を待って残りの装置の製作を完了して京都大学原子炉実験所にて核分裂中性子照射実験をスタートする予定である。また重イオンによる低温照射した電子顕微鏡試料の極低温クライオ・トランスファー電子顕微鏡観察可能な照射試料室も今後製作して変位カスケード損傷過程の研究を行うよう続いて計画している。
著者
市川 厚
出版者
京都大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984 (Released:1987-03-31)

研究実施計画に従い、以下の研究成果を得た。1. 融電電気泳動による細胞融合条件の検討:融合用装置を組み立てた。装置の概略は、白金電極をプラスチック製スライドに距離200μMの間隙で固定し、一定の周波数とサイン波形を出力するファンクションジェネレーターと、高出力パルス(方形波)を1MHz,20μsecで放出するパルスジェネレータの順に連撃する。細胞の前処理としては、緩衝液の替りに0.32Mマニトールを用い、0.1mM Ca【Cl_2】存在下、プロナーゼ0.5〜1.0mg/mlで室温10分間インキュベートを行って、遠心洗浄をくり返して細胞を洗浄する。融合反応条件は、【Ca^(2+)】存在下に0.5〜1又は2MHz、5〜20μsec範囲で細胞によって条件を選択し用いる。融合の可否は、用いる細胞と組み合させる細胞によって異なる。一般に、同種細胞同士の方が高い融合効率を得ることができる。しかし、異種細胞間においては、融合は可能であるが条件の選択性に晋偏性が認められない。細胞の回収はマニュピレーターを用い、庶糖密度勾配遠心法で密度の高い肥満細胞と細胞密度を利用して 分離する。肥満細胞同上の融合細胞は、増殖能を有さないのでコロニーを形成しないことから、癌化肥満細胞と肥満細胞の融合体のみを回収する。線維芽細胞やリンパ球と肥満細胞の融合についても検討を加えた。2. 融電電気泳動によるリポゾームの細胞への封入:癌化肥満細胞より、S-アデノシルホモシスチンヒドロラーゼを精製し、膜よりPG【D_2】レセプターを単離して、各々を酸性リン脂質含量の低いリポゾームに包含させる。細胞内への融電電気泳動による移行は10%内外でとくに高収率ではなかったが、細胞への傷害を考えると他の薬剤を用いる方法よりも明らかに優れている。1),2)を通じ、異種細胞間の融合条件が確定できなかった点は今後の問題である。
著者
富田 眞治 富田 真治 吉田 紀彦 谷口 倫一郎 村上 和彰 福田 晃 末吉 敏則
出版者
九州大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987 (Released:1987-04-01)

本研究の主な成果を以下に示す。1.QA-2の総合的性能評価とアーキテクチャの再設計:研究代表者らが以前開発した超長形式機械命令型計算機QA-2のアーキテクチャを評価した結果、機械命令処理の高度パイプライン化、演算器個数に依存しない汎用の機械命令形式などの必要性が明らかになった。この結果、超長形式機械命令型計算機の発展形である単一命令流/多重命令パイプライン(SIMP)方式を考案した。この方式は、短形式機械命令を実装した演算器個数分づつまとめて同時にパイプライン処理することにより、命令処理の時間的かつ空間的な並列度を更に高めようとするものである。2.超長形式機械命令型計算機の試作機開発:SIMP方式に基づく試作機を開発した。開発した試作機は、浮動小数点演算器および固定小数点演算器それぞれ1個を1本の命令パイプラインの核として、4本の多量命令パイプラインを有するものである。命令実行の障害となるデータ依存関係および制御依存関係を実行時に解決するための動的コード・スケジュールリング・アルゴリズムを開発し、試作機に実装している。その結果、命令実行順序がオブジェクト・コード上の命令出現順序と異なるアウト・オブ・オーダー実行となる。本アルゴリズムは他のアルゴリズムと比べて、分岐命令実行の際の選択的な命令無効化、複数のデータ依存関係の検出・表現、分岐命令を跨いだアウト・オブ・オーダー実行および先行実行などが特徴的である。3.超長形式機械命令型計算機用の最適化コンパイラの開発:SIMP方式のための最適化コンパイラに採用する静的コード・スケジューリング・アルゴリズムとして、トレース・スケジューリング法、ソフトウェア・パイプライニング法,ポリサイクリック・スケジューリング法などの試作機への適用を検討した。
著者
高折 修二 赤池 昭紀 笹 征史
出版者
京都大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

A/Dコンバーターを装備したミニ・コンピュータを用い中枢神経系における電気生理学的研究によってえられたデータを自動解析するためのソフトウェアを開発した. プログラムはUNI×オペレーティング・システムの下でC言語により記述したので, 実験の目的に応じてソフトウェアを容易に変えることができた. 三次元表示による監視システム, ならびに活動電位, 細胞内記録時の興奮性シナプス後電位(EPSP)およびパッチクランプ記録時の単一チャンネル電流のためのプログラムを作製し, データの迅速かつ正確な解析を行った. 局所刺激によってえられたEPSPはコンピューターに接続したA/Dコンバータを用いてデジタル化した. デジタル化したデータをグラフィック・ターミナル上に表示し, EPSP上昇相および下降相の各点の対数を時間軸に対しプロットした. データ解析用のこのコンピューター・システムを用いて, 次の実験を行った. 第1にラットの尾状核ニューロンに対するドーパミンの効果を, スライス標本において細胞内記録法を用いて検討した. 低濃度(1μM)のドーパミンによる水槽の灌流は脱分極をおこし, 自発性発火の増加と, 細胞内に与えた脱分極パルスにより誘発される活動電位数の増加を伴った. これに対し, 高濃度(100μM)のドーパミンは静止電位に明らかな効果をもたらすことなしに, 自発性および電流誘発による発火を抑制した. 次いで, 尾状核におけるコリン作動系の主要な役割を解明するために, コリン作動薬および拮抗薬の効果をラット尾状核のスライス標本を用いて研究した. その結果, 尾状核ニューロンのシナプス前およびシナプス後部に局在するムスカリン性受容体は, それぞれコリン作動性の抑制および興奮に関連していること, およびこのシナプス前抑制か興奮よりも優位であることを明らかにした.
著者
古山 富士弥
出版者
名古屋市立大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

本研究は三つの部分から成っている。(1)高環境温度耐性ラットの系統開発すでにある程度まで育成していた高環境温度耐性ラットを、この三年間でさらに選抜と交配をくりかえして純化し、二十数世代をかぞえる近交系として確立した。この系統は、1982年および1988年に発表した約20系統のラットよりも、高温耐性であった。遺伝分析のために、既存の系統のうち最も高温非耐性であったACIラットとの間に、F1、F2、BCを産ませて、高温耐性を測定した。その結果、高温耐性はポリジーニックに決定されていることと、主要な数個の遺伝子が特につよく関与していることがわかった。(2)ハイブリッドの作出このF2をもとに数系統のリコンビナント・インブレッズを作出したが、途中で研究室の研究条件が一過性に悪化したときに、一系統を残してすべて殺した。その後、高環境温度耐性ラットと祖先を同じくする対照系が絶滅したために、残ったリコンビナント・インブレッズを高環境温度耐性ラットにBCして、対照系として育成しつつある。現在、研究条能が少し好転してきたので、再びリコンビナント・インブレッズを育成する準備をしている。(3)生理的機能の研究既存の系統では、高温耐性であるほど、唾液分泌が活発で、唾液分泌が長く持続し、体水分利用公立が高かった。高環境温度耐性ラットでは、唾液分泌はさらに活発で、さらに長時間持続したが、体水分利用効率は既存の系統のうち最高のものと同値であるにすぎなかった。高環境温度耐性ラットは、室温25℃での体温が約1℃ひくく、高環境温度へ暴露されると体温を40℃付近に設定した。
著者
吉田 正夫
出版者
岡山大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1983 (Released:1987-03-31)

1.8種類のウニ(タワシウニ、コシダカウニ、エゾバフンウニ、タコノマクラ、アカウニ、バフンウニ、ムラサキウニ、サンショウウニ)の幼生および稚ウニの飼育を試み、理学部付属臨海実験所レベルの小規模施設における稚ウニ生産技術の確立をめざした。2.タコノマクラを除き、大規模な飼育設備を持たない施設においても、数千個の稚ウニを生産できることが判明し、実験の性質を限れば、研究者にある程度安定的にウニを供給できる目途がついた。3.海水の汚染状況は各地で異なるため一概には言えないが、適当な濾過装置を用いれば幼生飼育可能な海水を得ることができる。4.幼生飼育の餌としては、珪藻Chaetoceros gracilisが最適である。5.変態前の幼生は、30リットルパンライト容器中で、1mlあたり6個体の密度で飼育した。飼育液中に繊毛虫が発生してきたら換水した。6.幼生が8腕期に達し、ウニ原基が十分に発達したら変態誘導をおこなった。予め器壁に付着珪藻を付けておいた500リットルパンライト容器中に、プラスチックの波板を組合わせて作ったコレクターを設置し、変態直前の幼生を入れると直ちに変態を開始した。7.20°Cで飼育して、変態誘導までに要した時間は、アカウニ、21日、バフンウニ、18日、ムラサキウニ、12日、サンショウウニ、9日であった。8.変態後の稚ウニは、アナアオサやモクを餌として与えて飼育し、殻径が5mm〜1cmに達したら海へ放流した。9.500lパンライト容器で生産可能な稚ウニの数は、最大1万であろう。
著者
川上 洵 南寿 礼次郎 大森 淑孝 杉本 博之 加賀谷 誠 徳田 弘
出版者
秋田大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988 (Released:1988-04-01)

1.膨張コンクリ-トを鉄筋コンクリ-ト管に適用し、そのひびわれ強度の改善を計った。1)膨張コンクリ-トの材料特性を明らかにした。2)普通コンクリ-トと膨張コンクリ-トの複合化を行うことによりケミカルプレストレスを導入した。このとき、管を多層円柱とモデル化し応力解析を行いプレストレスの分布を示した。3)外圧試験により膨張コンクリ-ト使用(ケミカルプレストレス導入)によるひびわれ強度の上昇を定量的に示した。2.PC鋼材を用い、鉄筋コンクリ-ト管に機械的プレストレスを導入し、外圧強さの向上を計った。1)PC鋼を鉄筋コンクリ-ト管の外壁に巻き緊張・定着して機械的プレストレスを導入した。2)機械的プレストレスとひびわれ強度の関係を明らかにした。3.鉄筋コンクリ-ト管の内壁にライニングするポリマ-モルタルの材料特性を検討した。1)ケミカルアタックに対する抵抗性、2)遠心力ライニング時の親水性、3)鉄筋コンクリ-トとの付着特性、4)外圧試験におけるひびわれ強度が明らかにされた。4.高強度耐酸コンクリ-ト複合管の設計及び製作を行った。1)複合管を構成するポリマ-モルタル、膨張コンクリ-ト、普通コンクリ-トの打込み厚さ、鉄筋及びPC鋼の量及び配筋などに関し、その材料特性及び価格を考慮し、できるだけ大きな外圧強度が得られる最適設計を行った。2),1)の結果に基づき、実用管の試作を行い、その外圧試験を行った。
著者
桑原 正明 飯沼 一浩 大川 俊之 伊勢 秀雄 景山 鎮一 高山 和喜 OHKAWA Toshiyuki HOSOYA Fumio 細谷 文夫
出版者
東北大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

微小爆発を水中衝撃波のエネルギー源とした体外衝撃波結石破砕システム(mESWL)を開発し, 222名の上部尿路結石症患者(229治療症例)に試験治療を行い, 96%の症例に治療効果を認めた. 合併症としては発熱と結石排出に伴うせん痛が20%の内外の患者に見られた. この他には菌血症1例, 消化管出血1例, 腎被膜下血腫2例が見られた. 後者の4症例は, 1例の腎被膜下血腫の1例に経皮的なドレナージを施行した他は保存的に治療した. これらの合併症の発生頻度はこれまで実用化されている体外衝撃波結石破砕機におけるものとほぼ同様であった. 従って, mESWLはこれまでのESWL機と同様に臨床的な治療機として応用できることが示された.mESWLは現時点では一応, 完成されたシステムであると考えているが, 欠点がないわけではない. 例えば私たちはmESWLの治療方式として衝撃波のエネルギー効率を重視し, 患者を水槽内に入れて治療をおこなう方式(water-tub)を採用した. また, 私たちは爆薬の単純性とその強力さに注目して, 衝撃波発生のエネルギー源に専ら爆薬を用いてきた. しかし, 爆薬を使用する限り, 爆発に伴う騒音の発生や爆薬を取り扱うことの煩わしさが避けられない. 騒音についてはDornier機(HM-1)と同じレベルであることが確かめられ, この点についての問題は少ないが, 経済的な見地からみると爆薬そのもののコストも無視することはできない. こしたことから, 将来的にはtub-less方式の検討やピエゾ素子など他のエネルギーを用いることについても検討を進めたいと考えている.mESWLの総合評価は治療効果, 操作性, 経済性などを含めた他の体外衝撃波結石破砕機との比較を待たなければならないが, 国産の体外衝撃波結石破砕機を独自の方式で開発することができた意義は大きいとかんがえられる.
著者
浅野 俊夫
出版者
京都大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984 (Released:1987-03-31)

1。本年度は、試験研究の最終年度に当たるので、59・60年度に開発した装置類をニホンザルの小集団のケージに据え付け、改良と調整を行った。2。まず、自動給餌装置の改良・調整を行った。給餌窓の大きさがおおき過ぎると一度に二つの固形飼料を取られてしまうことが分かったので、窓の大きさを調整した。また、固形飼料の自重のみに頼ると補給路がつまり、呈示窓に餌が落ちて行かないことが分かったので、偏心モーターによる振動を与える機構を付加し、落下を促すようにした。さらに、呈示窓部への手の出し入れは光ビームで検出し、一度手を放してもすぐに戻したときは、うまく餌が取れなかった時なので、手を離してから一定時間経過した時にのみ、呈示窓のシャッターが閉じるように改良した。3。自動個体識別装置は、センサー部には問題が無いが、サルにつける首輪の開発が難しく一応の試作には成功しているが、まだ完成に至らず、実際の実験に使いながら最終調整中である。首輪側には発信機を置かず、首輪に巻いたコイルの時定数を餌場に設定した磁場への影響で検出するという基本原理は期待どおりの成功を納めたが、コイルの巻いてある首輪をサルに脱着する機構が難しく、現試作品は一度着けたら外せない構造になっている。これでも十分に当初の目的には、かなっているが用途が限られるので改良が必要である。4。実験制御用に開発したMSXコンピュータ・システムは、すでに学内外で使用されており、インターフェース・ボードのプリント基板も数度の改訂を経て、完成品がいつでも入手出来る態勢が確立されている。ソフトウェアはBASIC言語を採用したので、誰でも容易に実験用プログラムを書くことが出来る。
著者
中沢 正治 小佐古 敏荘 高橋 浩之 持木 幸一 井口 哲夫 長谷川 賢一
出版者
東京大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988 (Released:1988-04-01)

本研究は、CR-39固体飛跡検出器にポリエチレンなどの適当なラジエ-タを組み合わせ、ラジエ-タ物質と中性子の核反応で生じた荷重粒子CR-39への入射量を調整することで、全体として中性子感度曲線が、中性子線量当量換算係数のエネルギ-依存性をできるだけ再現するような最適ラジエ-タの組み合わせと飛跡計数方式を見出すことを目的としている。咋年度までに、標準的なラジエ-タ付きCR-39線量計および飛跡読み取りシステムの試作と予備的な中性子感度曲線の校正(検証)実験を行なった。本年度は、まず中性子検出効率の理論的検討を行ない、実験的に確証するため、東大原子力工学研究施設内の重照射設備およびブランケットにおいて中性子照射実験を行った。試料として、CR-39プラスチックに厚さがそれぞれ0.86,1.90,4.02mg/cm^2のポリエチレン、および厚さ5mmの^6Li_2CO_3を密着させたものを使用し、人体のアルベド効果を模擬するため、後方にポリエチレンブロックを置いて行なった。その結果、各ラジエ-タ厚で、中性子エネルギ-に依存する検出効率の実験値は、誤差の範囲内で比較的良く計算値と一致した。つぎに、これら4種の感度特性と、ラジエ-タ無しの特性からレムレスポンスを近似的に求めるため、重み係数を最小2乗法により求めた。これによると再現性は良好である。特に、中性子線量当量換算係数が大きく変化する100KeVから1MeVの中性子エネルギ-領域の再現性に優れていることが明らかとなった。しかし、10MeVを超えると、検出器感度が低下するため、レムレスポンスの再現性が悪くなる。この対策として、薄いアルミ板をCR-39プラスチックの前面に置くことのより、感度を高められることが確認されている。以上より、小型・計量で取り扱いが容易な中性子個人被爆線量計の実用化の見通しがついた。
著者
竹内 利行 石川 英一 小暮 公孝 堀内 龍也
出版者
群馬大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1989 (Released:1989-04-01)

成長ホルモンやプロラクチンは、粗面小胞体でシグナルペプチド部分が切断されるだけで生理活性ペプチドとなるが、インスリンなど多くの生理活性ペプチドは前駆体として産生され、分泌顆粒に入る過程で、そのペプチドに隣接する塩基性アミノ酸対が限定分解をうけ、生理活性ペプチドとなる。この限定分解は内分泌細胞に特異的で、線維芽細胞、上皮細胞、リンパ球のような非内分泌細胞では、インスリン遺伝子を組み込んでもインスリンは前駆体として産生され、生理活性型には変換されない。ところで血液凝固因子や成長因子のあるものは、非内分泌細胞中で前駆体として産生され、生理活性蛋白に変換されるが、最近この変換はーArg^<ー4>ーXーLys/Arg^<ー2>ーArg^<ー1>配列がFurinという蛋白分解酵素で分解されることが分った。更にインスリン受容体や補体第3因子、第5因子の前駆体はサブユニット間に4つの塩基性アミノ酸配列を持ち、線維芽細胞やリンパ球で限定分解をうけて複数のサブユニットから成る成熟型蛋白となることが知られている。そこで我々はラットプロインスリン前駆体cDNAをB鎖ーArgーArgーLysーArgーCペプチドーArgーArgーLysーArgーA鎖となるようにした変異インスリンcDNAを作製しアフリカ緑毛猿腎上皮細胞由来COSー7に導入し、発現させたところ、培養液中の免疫活性は約60%がインスリン分画に移行してい。更にFurin遺伝子を同時発現させると、成熟型インスリンへの変換はほぼ100%となった。又インスリン分画の生物活性はヒトインスリン製剤とほぼ同等であった。以上の実験からCOSー7のような非内分泌細胞でもプロセシング部位が4つの塩基性アミノ酸配列になるように変異を加えたcDNAを発現させると、変異プロインスリンは生理活性型インスリンへ変換することが分かった。このことは非内分泌細胞でインスリンを発現させることによって、代用インスリン産生細胞として用いることができる可能性を示している。
著者
梅村 晃由 谷内 宏 内倉 章夫 白樫 正高 AKIO Uchikura HIROSHI Taniuchi
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987 (Released:1987-04-01)

二年間にわたり、装置の設計、試作、実験を繰返えした結果として、まず水力輸送の各装置について、(1)雪分率測定機:管内を流れる雪水混合体中の雪の割合いを、試料を採取することなく、連続的に測定する装置として、実用化の目途を得た。(2)雪分率調整機:管内を流れる雪水混合体から水のみを抽出する(あるいは水を加える)ことにより、それより下流の雪の分率を調整する装置として、実用化の目途を得た。(3)雪押込機:雪を水と混合してポンプに吸い込ませるための攪はん混合装置の制御系の改善を行った。また市販のスラリーポンプの雪水混合特性を調べ、雪の水力輸送に適するものを選んだ。両者を結合して、市民の使用に適する雪押込機を製作した。つぎに、これらの装置を組合わせて、高い雪分率の輸送実験を行い、雪水二相流の流動特性について、つぎのような点を解明した。(1)流速一定の条件の下の、高い雪分率における直管内圧力損失(2)仕切り弁における圧力損失と閉塞の発生機構(3)雪塊の間欠的投入に伴う、輸送系内の雪分率の変動挙動開発された装置の市内現場における実用試験は、小雪年が続いたため、山から雪を運んで行われ、つぎのことを確認した。(1)装置は所期の輸送能力を有する。(2)閉塞は管路の収縮部における雪塊の停滞によって起る。(3)雪の投入を制御するための警報装置は所期の作動をする。しかし、この装置を市民に使ってもらって、稼動率や信頼性を知る試験は小雪のため行うことができず、今後の課題として残された。