著者
沢井 芳男 外間 安次 鳥羽 通久 川村 善治
出版者
(財)日本蛇族学術研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

本研究はヤマカガシ咬症の重症患者の治療血清の試作を行うためにヤマカガドウベルノイ腺から毒液を抽出し, ウサギ及びヤギを免役し, その血清を採集し, 硫酸ナトリウム, 硫酸アンモニウムによる分画及びペプシン消化法によってγ-グロブリンを分画精製し高力価の抗毒素を得た. その結果ウサギ抗毒素0.2mlは120μg(48mld)の毒量を中和した. またヤギ抗毒素0.1mlは220μg(73.3mld)の毒の致死を中和し, 216μg(47mhd)の毒の出血を抑えた. また抗凝固性は抗毒素0.05mlは119.3μg(108.5u)の毒による凝固を阻止した. また抗毒素の精製度については電気泳動の結果γ-グリブロンの単一のピークが得られた. しかし免疫電気泳動では抗ウサギγ-グロブリン(IgG)ヤギ血清に対し, ウサギ抗毒素は特異時的な反応帯が認められたが, 抗ウサギ血清に対してはγ-グロブリン以外の混入が認められた.なお本抗毒素にはさらに治療用毒素に必要な所定の検査を行い, 長期保存にたえるように凍結乾燥を行った. その間に発生したヤマカガシ咬症患者の重症例の治療に応用し, その治療効果を確かめることができた. すなわち本抗毒素は患者の出血性素因及び血液の凝固異常を速やかに回復し, 患者を治癒に導いた.
著者
森井 宣治 (1987) 森井 宜治 宮内 太積 澤 洋一郎 松平 秀雄
出版者
沼津工業高等専門学校
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

地上の転校に影響され難く, その敷設計画が既設の建築物によって左右され難い地下鉄網は都市部の安定した交通・輸送機関として重要である. その敷設の経済効率を上げるために地下鉄トンネルの径を小さくし, 閉塞率を大きくすることが求められるが, それは列車の運動によって誘起される気流, 列車風, を強くすることになる. 列車風は乗降客に不快感をもたらし駅部の空調負荷を増大させる. それは地下鉄系内の火災時における煙の挙動を複雑にし, 乗降客の避難や消化活動を困難にし, 被害を拡大する要因となり得る. 1987年11月18日, ロンドンのキングス・クロス駅で発生した火災は死者31名, 負傷者23名を出す大惨事となった. この火災においても, 列車風が火災規模を拡大した. 列車風の挙動をより正確に把握することが大きな人的, 経済的損害をもたらす地下鉄火災に対応するために必要である. 本研究の目的は, 列車の運動が誘起する地下鉄列車風の挙動を理論的にも実験的にも正確に把握し, 地下鉄計における換気, 空調及び防災対策等を検討する上で有用な設計指針を与えることにある. 本研究の主要な成果は以下の通りである. 1)トンネル内で運動する列車が誘起する気流の発生機構を理論的に解明した. 地下鉄列車の運動がトンネル内に誘起する気流の挙動を解析するために, 気体を理想気体とみなして基礎的な考察を行い, 列車風を1次元・圧縮性流体として取り扱う理論を提示した. 2)列車の運動と気流の挙動との関わりについて模型実験及び実地計測を通じて明らかにし, 理論の妥当性を検証した. 模型実験装置を用いて, 地下鉄構造・列車運行による列車風現象の相違点を明確にした. 実験データの自動処理をおこなった. また, 帝都交通鉄道営団・東西線木場駅にち, 実地計測を行なった. 3)地下鉄駅各部における火災を模擬した模型実験を行ない, 地下鉄系における防災対策を検討する上で, これらの理論と模型実験の有用性を示した.
著者
松村 多美恵 菅井 勝雄 (1984) 本田 敏明 菅井 勝雄 新妻 陸利 馬場 道夫
出版者
茨城大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984

今回の研究は、IRE-【I】(Ibaraki Daigaku Response Environment-【I】)、IRE-【II】に続くIRE-【III】の開発に関するものである。最終年度である昭和61年度は、昭和59年度および昭和60年度に開発されたタッチスクリーン式コンピュータディスプレイ装置を用いて、実用化に向け、本格的な実験を行うとともに、本システムによる学習効果を実証するため、教材とされた生活単元学習としての「宿泊学習」での実際の宿泊場面や授業場面における児童の行動をビデオに記録し、分析した。具体的には、(1)F養護学校小学部における「宿泊学習」の事前と事後にプログラム学習(ことばと動画の対応、および次の行動の予測の動画選択)を実施した結果、学習成積の改善が見られるとともに、反応時間に関しても、反応時間が短かくなり、標準偏差も小さくなった。(2)児童の宿泊場面における行動を17項目の児童に対する質問調査、25項目のVTR反復視聴分析、および担任教師による21項目の行動評価によって検討した結果、多くの場面で自律性の向上が見られた。(3)実験群と統制群を設定し、実験群にみるプログラム学習を実施したところ、実験群において、生活単元学習としての「宿泊学習」の第1回の授業場面の行動がすぐれていた。すなわち、発語や指さしをしながら積極的に授業に参加している行動が、統制群より統計的に有意に多かった。以上の結果により、本システムの有効性が認められた。従来の視聴覚的方法であれば、宿泊学習のビデオを事前に視聴して、その効果を調査するという方法をとったであろうが、本システムは、場面を分解整理した上、児童自らが、タッチスクリーンに反応し、選択視聴するという方法をとり、児童の大きな興味を引いたように思われる。本結果の一部は、日本教育工学会(1986)において発表された。
著者
山口 幸三 鈴木 忍 光成 豊明 大友 純 三井 泉
出版者
日本経済短期大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本研究は大学・短大における講義中心の経営教育の弊害を取り除くため、コンピュ-タを技術的な基礎に置いて、マネジメント・ゲ-ムの導入による実戦的な経営活動を学生に疑似体験させるためのシステムの開発を目指したものである。マネジメント・ゲ-ムは企業の社員研修においても広く採用され、その教育的な効果が認められている。われわれが開発したものは、企業の社員研修用よりも、大学における教育用として効果のあるものである。学生は実務的知識に疎いので、その欠如を補い、さらにゲ-ム進行中にそれらの実務的知識の修得を促すようなシステムが最良と考えられるのである。当初、われわれがシステム化したマネジメント・ゲ-ムでは、審判団の行なう集計・検算作業のコンピュ-タ化を行なった。審判団の集計・検算作業がゲ-ム進行のスピ-ドアップのネックとなっていたからである。この結果、学生の意思決定作業時の指導がより密度の高いものとなった。続いて、学生の行う意決定・会計処理作業のコンピュ-タ化を目指した。ただし、この部分のコンピュ-タ化にあたっては、できる限り学生の手作業の部分を残した。全面的なコンピュ-タ化は教育効果が少ないという判断からである。したがって、審判団へのデ-タ提出にあたって審判団の作業がやりやすいようにシステム化した。この段階ではデ-タ集計はフロッピィディスクによるオンライン集計であった。そこで次に、LANシステムを用いたオンライン集計のシステムを構築することにした。しかし、パソコンのハ-ド技術的な制約からLANシステムによるゲ-ム・システムは一部しか完成せず、その全面的な構築には至らなかった。けれども、われわれは研究計画立案当初の目標を達成し、さらにその目標を上回る研究成果をあげることができた。
著者
米倉 迪夫 奥平 俊六 高見沢 明雄 木村 三郎 早川 聞多 林 進
出版者
東京国立文化財研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

1.美術史研究用画像処理パッケージソフトの開発本研究で導入した画像処理システム(NEXUS6810)をパーソナルコンピュータ(NEC9801VM)より制御するソフト。NEXUS6810のもつコマンド群に習熟し、美術史研究に必要なソフトの機能を協議、画像処理の実験を重ね、ソフトの仕用案を作成した。プログラミングは、専門のソフト開発業者に依頼した。コンピュータのハード面に詳しくない美術史研究者が、研究支援の道具として画像処理技術を応用できるよう、主として次の4点に注意を払った。1)操作が手軽であること。2)画像ファイルの管理がすぐれていること。3)グラフィック及び画像処理機能が充実していること。4)研究者が手直しできる高級言語を使用していること。2.画像処理技術を応用した美術史研究の実例尾形光琳筆紅白梅図屏風(MOA美術館蔵)における制作過程と原状のシミュレーション3.画像データベース(dBASEIIIPLUSを使用)の試作文字型データベースに蓄積された文字情報とNEXUS側の画像情報とをリンクさせ、画像ファイルの検索・表示を可能にした。4.公開シンポジウムの開催本研究テーマのもとで二度の公開シンポジウムを開催し、美術史研究における画像処理技術の応用について活発な議論があった。1)第1回(10月25日) 於奈良・大和文華館西日本の美術史研究者を中心に約40名が参加。2)第2回(3月9日) 於東京国立文化財研究所。東日本の美術史研究者を中心に約60名が参加。
著者
中浜 博 山本 光璋 相川 貞男 小暮 久也 熊澤 孝朗 森 健次郎
出版者
東北大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本システムの実用化に向けて、皮膚温センサとして採用した皿型センサの安定性評価というハ-ド的な検討を行うとともに、時間法による痛覚閾値測定法および反復輻射熱刺激法の評価というソフト的な検討を行った。さらに、実際に健常者に対する痛覚閾値の基礎デ-タ収集、各種疼痛患者に対する測定をはじめとする各種応用の検討がなされた。以下に、主な研究成果を示す。(1)本システムを用いた輻射熱刺激では被刺激部位の皮膚表面温度分布は釣り鐘型であるが、採用した2mmφの皿型センサ-では0.5mmの設定立置ずれに対しても最大0.3℃程度の測定誤差であることが示された。(2)心療内科領域における各種疼痛患者、痛みの無い心因性疾患者などにおける測定から、背景病態心理別に異なった痛反応時間パタ-ンを有することが示され、器質性の痛みと心因性の痛みの差異が示唆された。(3)異なる刺激強度で時間法による痛覚閾値測定を行った結果、最高到達温度に対する感覚および情動的ビジュアルアナログ得点にベキ関数が適合することが示唆された。(4)身体各部で痛覚閾値を測定し、部位差の影響を調べた結果、測定部位の反膚温度が閾値パラメ-タに影響を与える場合があることが示された。従って、測定結果の評価には測定部位の温度を考慮する必要がある。(5)各種血管拡張薬の末梢への投与による痛覚閾値の変化が測定された。(6)反復輻射熱刺激法による二次痛の測定の可能性が示された。(7)SMON患者において熱痛覚閾値の測定を行った結果、健常者に比較し痛覚閾値が有意に高い部位があることが認められた。また脊髄髄節域でみた場合、遠位部での閾値の上昇が顕著である例が示された。(8)全身麻酔下での痛覚閾値測定の応用が検討された。
著者
江藤 一洋
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986

哺乳類神経堤細胞の研究は、従来、in vivoの材料を用いた形態学的手法や、primary cultureなどによりなされてきたが、全胚培養法を導入することにより、より実験発生学的な研究が可能になりつつある。全胚培養法は、母体の因子を取り除いた状態で胚操作を行うことができ、また、発生段階を揃えて短時間の処理を行うことも可能であるため、発生学的研究にたいへん適した方法である。とくに、マウスを材料として用いることは、顔面形成に異常のあるミュータントを用いることもできるため、より有利であるといえる。62年度までは、主としてラットを用いて全胚培養法の基礎的な条件を検討してきたが、63年度においては、胎齢10日目からのマウス全胚培養法を用いて、以下のような化学的あるいは物理的処理を胎仔に加える実験を行った。1.サイトカラシンD(CD)による顔面形成の阻害妊娠10日目のマウス胎仔を、全胚培養下で150ng/mlのCDに2時間暴露したのち、通常の培養液に戻して24時間の培養を行い、顔の形成を観察したところ、CD処理の胎仔においては、17例中12例(70.4%)に顔の形成異常が認められた。処理群の胎仔鼻板上皮をローダミン-ファロイジン染色により観察すると、鼻板上皮のapical siteのアクチン線維束の部分的な断片化、すなわち分布の乱れが認められた。2.早期卵黄嚢膜開放による一次口蓋形成異常(口唇裂)の誘導卵黄嚢膜開放(OYS)は、全胚培養を行う上で必須の操作であるが、C/57BL/6マウスの場合、尾体節数8以下で行うと、口唇裂のみ100%誘導されることが分かった。OYSを早期に行って数時間経過した培養胎仔の癒合予定部位を走査電子顕微鏡により観察すると、正常発生でみられる微絨毛の消失が起きず、上皮細胞の表面は球形となり、また、球状物質も多く認められた。
著者
小池 裕子 西田 泰民 岡村 道雄 高杉 欣一 中野 益男
出版者
埼玉大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

〈目的〉貝塚からは古代人の食事に関する直接的な情報を内包する糞石、あるいは土器、石器付着物が出土している。これらの遺物から残存している脂肪酸を非破壊的に抽出し、その脂肪酸組成を基に動植物を同定して、先史時代人の全般的な食糧組成を直接復原しようとするのが本研究の目的である。〈研究結果〉 61年度は、糞石等の材料のほか、旧石器遺跡から出土する焼石および縄文時代以降の土器付着物を分析対象に加えた。1 現生動植物のスタンダード作成:今年度は栽培植物を含め約60点を追加し、また文献による検索を進め、古代人の利用した動植物をほぼモウラした。2 糞石資料の分析:60年度に行った東北地方のほか、縄文後晩期の田柄貝塚、同大木囲貝塚、縄文後期の古作等の貝塚出土資料を加え、合計58点を分析した。ステロール分析を行ない、糞特有のコプロスタノールを検出した。脂肪酸組成、ステロール組成から推定すると、陸棲哺乳類のほか、水産動物や植物など多様な食糧組成が含まれることがわかった。3 焼石資料の分析:60年度の多摩ニュータウンの他、野川中州北遺跡において系統的なサンプリングを行ない、合計20点分析した。4 土器資料の分析:60年度の曽利・寿能遺跡のほか、縄文時代草創期の壬遺跡,早期の鶴川遺跡、前期の諏訪台遺跡、中期の曽利遺跡、後期の宮久保遺跡,晩期の亀ケ岡遺跡,古墳時代の式根島吹之江遺跡,北海道オホーツク期の北大構内遺跡,近世の東大構内遺跡の合計180点を分析した。5 それらの結果を、飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸,高級脂肪酸/中級脂肪酸,コレステロール/植物ステロールの比を軸にした3次元座標上にプロットしてみると、それぞれの遺物の植物,陸上動物,水産動物の組成を知るのに有効であることがわかった。
著者
保井 孝太郎 竹上 勉 小島 朝人 松浦 善治 宮本 道子 木村 純子 KIMURA-KURODA Junko 荻本 真美
出版者
(財)東京都神経科学総合研究所
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1989

日本脳炎ウイルス(JEV)が属するフラビウイルスは、世界中に70種にのぼるウイルス種が存在しており、総合的で有効な対策が待たれている。現在黄熱病ウイルス、JEV、ダニ媒介脳炎ウイルスに対する生および不活化ワクチンが使用されているが、それぞれに問題点を含んでおり新しい形のワクチンの開発が要請されている。そこで、組換えDNA技術を用いてJEVに対する新しいワクチンの開発をはかり、他のフラビウイルスに対するワクチンの開発の基盤となる技術的・方法論的知見を提供することを目的として、研究を行なった。組換えバキュロウイルスおよびワクチニアウイルスを用いた研究によって、以下のことが明らかになった。1,ウイルス粒子エンベロ-プに存在する構造蛋白E,preM,Mは、ポリプロテインとして合成された後、細胞の酵素によって切断プロセシングされて完成する。2,これらの蛋白の上流にはシグナル配列があり、正常な抗原構造を持った構造蛋白を発現させるためには、正常にプロセシングされることが必要である。3,ウイルス粒子上のE蛋白は、E蛋白単独またはpreM,M蛋白とともにオリゴマ-を形成しており、モノマ-状態のE蛋白に比べて抗原的に安定であり免疫原性も高い。4,E蛋白をオリゴマ-粒子として細胞外に大量に産生・放出させ得る、組換えウイルス発現系を開発することができた。5,蛋白上の中和抗体エピト-プの位置を明らかにできた。6,E蛋白の一部分と融合し、中和などの特定にエピト-プのみを含むHBsAg粒子を産生する系を、開発することができた。以上の成果から、JEVを初めとするフラビウイルスの新しい人工コンポ-ネントワクチンを開発するための基本的な方法を提示することができたと言える。
著者
阿部 英彦 谷口 紀久 稲葉 紀明 中島 章典 佐藤 良一 INABA Noriaki TANIGUCHI Norihisa
出版者
宇都宮大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

道路や鉄道が互いに鋭い斜角で交差する場合、門型の中間橋脚とそれに載る桁高の小さい橋桁を必要とするが、これらに綱部材とコンクリートを適宜合成して建造することにより、力学的挙動が良く、工事がし易く、環境に適し、かつ、経済性が優れた構造物が実現すると考え、その開発の為に2年に亘り種々、実験的研究を行った。実験は主として綱部材とコンクリート部材の結合、あるいは両者の一体化について試験した。(1)鋼部材同志をコンクリートと鋼材を介して結合し、これに引張外力を加え、その性状を調べた。コンクリート継手部の中にスタッド付き鋼板を埋込んだものと異形鉄筋を埋込んだものを試みた。鋼部材とコンクリートの重なり部の長さ、フープ筋の量、スタッドの配置等を変えて挙動を調べ、適当なプロポーションを見出した。(2)コンクリート部材に鋼梁の先端部を埋込んだ試験体に曲げを加えた。鋼梁の埋込み長さ、スターラップの量、スタッドの量等を種々変えて、それらが継手部にどの様に影響するかを調べた。埋込み長が短いと、そこのコンクリートに大きなせん断力が作用するので、スターラップを増さなければならないが、鋼梁にスタッドを設けると作用するせん断力を減少する効果がある。(3)H形鋼をコンクリート中に埋込んだ橋桁で、両者の一体化のためのずれ止めをフランジでなく、ウエブに設けても有効であるならば、桁高を減少できて有利である。そこで鋼梁の種々の位置に量を変えてスタッドを設け、また、スターラップの量も変えて曲げ試験を行った。スタッドもスターラップも少ないと充分な曲げ耐力を発揮する前にせん断破壊することがわかり、また、ウエブに設けたスタッドも充分有効であることがわかった。更に鋼梁のウエブに適当な穴をあけるだけでもずれ止めの作用を表すことが確められた。以上により、現場での施工許容誤差が緩く、工事の安全性の高い構造物の可能性の目途が見究められた。
著者
本間 禎一 木原 諄二 小林 正典 岡野 達雄 藤田 大介
出版者
東京大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

極高真空発生のための技術開発の基礎研究として進められた。到達真空度はポンプの性能と材料のガス放出によって決まるが、本研究ではポンプの具体的内容には言及せず、ポンプ構成材を含めた材料のガス放出の機構・評価・制御について扱っている。特にガス放出の定量とメカニズムの解明のために2種類の手法(昇温脱離TDS法とスル-プット法)を用い、またガス放出低減化のための手法も検討して以下の成果を得た。1.ガス放出機構を調べるためのTDS法の手法・装置試作・開発ガス放出機構を基礎的に調べる目的でTDS法を採用した。放出機構評価のためのパラメ-タ-である吸着分子の脱離の活性化エネルギ-、脱離の反応機構、拡散放出の場合の拡散係数などの信頼できる情報を得るために歪のないスペクトルを測定する最適条件、加熱方式を検討した。この考察に基づき、更に表面評価機能(低速電子線回折/オ-ジエ電子分光・光学系)を加えたTDS測定装置を試作した。2.ガス放出量評価のためのスル-プット法測定装置試作と測定スル-プット法に基づくガス放出速度測定装置を試作し、それを用いて各種表面処理(電解複合研磨、バフ研磨、TiN被覆)を施したステンレス剛製真空容器から放出されるガス放出速度を測定した。表面平滑化効果とそのベ-キング後の消失、電解複合研磨処理試料の大気暴露後の分圧(H_2O、H_2、CO、CO_2)測定による新しい知見、温度変動に追随する脱離挙動などの機構解明にもつながる情報・知見が得られた。3.表面改質ガス放出特性を向上させるための表面及び表層の改質方法について考察し、表面析出法(BNおよびグラファイト状炭素)によって低ガス放出材料が得られる可能性があることを示した。
著者
笹月 健彦 松下 祥 菊池 郁夫
出版者
九州大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984

これまでに、スギ花粉症に対する抵抗性はHLAと連鎖した遺伝子により、CPAg特異的サプレッサーT細胞を介して発現される単純優性遺伝形質であり、HLA-DRはT-マクロファージ間相互作用の拘束分子として、すなわち免疫応答遺伝子産物として機能し、またHLA-DQは免疫抑制遺伝子産物として機能していることを明らかにしてきた。今年度は免疫抑制のメカニズムをより詳細に解析し、以下のことを明らかにした。1.すでにHLA遺伝子型が決定された98家系525人の血清中特異的IgE抗体価を測定し、スギ花粉抗原(CPAg)に対する低応答性はHLAと連鎖した単純優性遺伝形質であることが確認された。すなわち症状のみならず免疫応答性からも免疫抑制遺伝子の存在が裏付けられた。2.第3回国際白血球分化抗原ワークショップで得られた約50種の活性化T細胞に関わる単クローン抗体が免疫抑制におよぼす影響について検討した。その結果、免疫応答を直接刺激することなく、免疫抑制を阻止することで、非応答者のIgE免疫応答を回復させる単クローン抗体4B4を見い出した。この4B4分子はヘルパーT細胞上に表現されていたが、サプレッサーT細胞上には表現されていなかった。また、培養開始時に細胞を抗4B4で処理しても免疫抑制は阻止されないことから、培養期間中のある特定の時期にこの抗体が存在することが、免疫抑制の阻止に必須であるものと考えられた。さらに4B4による免疫沈降の結果から、4B4分子はヘテロダイマーであり、活性化ヘルパーT細胞上の4B4分子は、静止期T細胞のそれに比べて、新たに3種のポリペプチドを表現していた。すなわち活性化T細胞上の4B4分子が、サプレッサーT細胞やサプレッサー因子の標的分子として機能していることが推測された。
著者
赤崎 勇 橋本 雅文 天野 浩 平松 和政 澤木 宣彦
出版者
名古屋大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

1.前年度に引続き、GaNの高品質MOVPE結晶成長条件下でZnを添加することによりMIS構造に必要な抵抗率の高いi層を実現し、MOVPE法による高性能MIS型青色LED(発光効率0.3%)を実現した。2.カソ-ドルミネッセンス(CL)法によりZn添加GaNの発光微細特性及び発光スペクトルを評価した結果、「GaH表面微細構造」と「発光波長及び発光強度」の間に密接な関係があることを見出し、面内で均一な青色発光を得るための成長条件を明らかにした。3.MOVPE法によりMg添加GaNの結晶成長を行い、以下の結果を得た。(1)Mg濃度はMg原料流量に対し線形的に制御できる。(2)Zn添加の場合と異なりMgの添加効率は基板温度によらず一定である。(3)Mg濃度を制御することにより室温のPL測定において青色発光(440〜460nm)を得た。(4)電子線照射処理を施すことにより、青色発光強度が1桁以上も増加すること、かつp形GaN(正孔濃度〜10^<16>cm^<-3>)が得られることを見出した。(5)pn接合形LEDを試作し、その発光スペクトルを測定したところ、青紫色及び紫外発光が観測された。以上の結果、Mg添加はGaN系短波波長発光素子の作製に極めて有効な方法であることが明らかになった。4.GaN上にGaAlNを成長させヘテロ接合の作製を行った結果、GaAlN層にクラックが発生することが分かった。このクラック発生はGaAlN層の組成及び膜厚を制御することにより抑制できることが明らかになった。またこのクラック抑制技術に基づきGaNとGaAlNの多層構造を作製した結果、表面平坦性の優れた多層膜が得られた。
著者
金川 弘司
出版者
北海道大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1983

生物材料や受精卵の凍結用に冷却曲線を自動的にプログラムできる装置は数種類開発されているが、これらの装置は植氷時の制御が不十分であり、試料を入れてある冷凍室を開放して、外部から冷媒や冷体で刺激を加えたり、氷晶片を投入したりして植氷を行っているために、冷凍室の温度が変動する欠点がある。また、植氷に伴う著しい温度の上昇がみられるのが普通である。これらの温度変動が凍結しようとする受精卵に何らかの悪影響を与えるものと考えられる。今回の研究で開発した凍結装置は、恒温槽、温度制御盤および加圧式液体窒素容器からなっている。恒温槽は、断熱槽、液体窒素槽、ヘリウムスペースおよびフレオン槽からできている。フレオン槽は気相部および液相部(フレオン11)の2つに分かれ、両部の冷却は液体窒素の冷熱によって行われる。液体窒素槽からの冷熱はヘリウムスペースに密封されている熱交換用ヘリウムガスによって、一定速度でフレオン槽内に伝達される。この冷却とフレオン槽内ヒーターの作動は槽内の温度を測定するモニター用温度センサーからの読み取りを通じてヒーター電流をPID制御(比例積分微分動作制御)する温度制御盤のマイクロコンピューターによって制御され、設定した任意の温度と冷却速度が保持される。この温度と速度は数段階に分けてキー入力できるようにプログラミングされている。気相部には凝固点温度(植氷)を予め検知できるように温度測定センサーが付属されており、液相部は温度勾配がほとんどないように撹拌機によって常に撹拌されている。本凍結装置は、植氷時に工夫を加えて、冷凍室を開放したり、外部から操作することなしに植氷を行い、植氷に引続いて起る温度上昇を1.0°C以内に抑えることができた。また、下降時の温度も変動範囲が0.1°C以内に制御できた。本装置を使用して、耐凍剤としての各種糖類および急速凍結法の検討を行った。
著者
大西 正俊 大月 佳代子 一條 尚
出版者
山梨医科大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本研究ではハイドロキシアパタイトの臨床応用、特に下顎骨再建について検討し以下の結論を得た。I.動物実験による検討成犬下顎骨による顎骨欠損部への補填実験の結果、下顎臼歯部15mmの欠損部の補填では約8週でアパタイト多孔体は近心、遠心両側からの気孔内に至る骨形成により埋めつくされる所見を得た。この場合の骨形成性は顎骨とアパタイト多孔体との固定に大きな関連性があることから、動物実験系での顎骨、頬舌側固定法であるダブルプレ-ト法を開発した。II.臨床応用-下顎骨再建症例の経過観察動物実験の結果をふまえて、臨床応用したアパタイト多孔体ブロックによる下顎骨再建例は現在までに29例、そのうち区域切除後の架橋補填7例での検討から、補填部の骨形成状態はX線所見、骨シンチグラムより推測しうること、またそのうちの1剖検例(73才女性)より高齢者に於ても骨形成が行なわれていることが明らかとなった。これらのことから、一定期間後のX線、骨シンチグラム所見から骨形成性を診断し、その結果によっては補填材としての再建プレ-トの除去が可能となる症例を経験した(35才男性、59才女性)。III.再建下顎骨に対する補綴的処置の検討下顎骨再建29例に対してはほぼ全例再建部への通常の補綴装置の装用を行っており、良好な結果を得ている。以上の検討より、アパタイト多孔体の補填部は骨伝導による骨形成が期待しうること、骨形成がある程度行われた時点で補強材チタンプレ-トの除去は可能で相応の物性が得られること、術式は骨移植に準じるが、人工骨との強固な固定が重要であることなどが確認された。本研究からもアパタイト多孔体は下顎骨再建用の人工骨として十分に臨床適用可能な材料であることが明らかとなった。
著者
清水 康敬 前迫 孝憲 坂本 昂 高野 綏 森 政弘
出版者
東京工業大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

9.研究成果の概要(最終まとめ) 本研究は, 留学生が日本語を習得するためのCAIシステムの構築を目的としている. すなわち光ビデオディスクに書き込んだ画像を動画教材とし, パーソナルコンピュータによる提示画像とのスーパーインポーズの制御を行っているが, 機器類の操作を学習者が自らの意思でインタラクティブに行うことができるよう構成したことに特徴がある. 本システムにより, 学習者は主体的に学習に取り組むことが可能となった. 本研究により, 書き込み可能な光ディスクをパーソナルコンピュータで制御するためのソフトウェアシステムの構築と改善を行った. また, 世界有数のCAIオーサリングシステムであるPLATOシステムに, 本研究で実現したインタラクティブ制御機能を組み込む実験を行った. そして, これらのCAIシステムの学習コースを作成し, ビデオディスクに付加したインタラクティブな制御機能が, 学習成績と深い相関を持ってょいることを実証するなど, インタラクティブなCAI環境でビデオディスクを利用する際の基本的な要件を明らかにした. また遠隔教育における通信量の適正化を図るため, ビデオテックス・NAPLPSを利用するCAIシステムの可能性を調査し, 色再現性の支持等適切な制御を行うことで高い効果の得られることを確認した. そして入力インタフェースとしての手書き漢字入力装置の可能性について調査研究を行った. 今後は, 本研究の成果に基づき, 学習コースの開発と利用を進めていく予定である.
著者
下村 義治 吉田 博行 吉田 直亮 桐谷 道雄
出版者
広島大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984

前年度迄に開発製作した極低温中性子照射した金属試料の電子顕微鏡用の4.2Kクライオ・トランスファー・ホルダーを改良して現在9K迄試料装填部の温度を下げる事に成功し4.2Kに今一歩に迫る性能向上をはたした。更に本年度はこのホルダーの先端試料部にクライオ・トランスファー時に取り付ける真空チェンバーの製作を完了した。これらホルダーおよび真空チェンバーを装備して中性子照射済の試料を中性子極低温照射用クライオスタットからホルダーに極低温にて移し変えてクライオ・トランスファー・チェンバーで真空引きしたままのせて電子顕微鏡試料室まで移動するための車およびそれに関連する装置も完成した。回転ターゲット核融合中性子源(RTNS-【II】)にて照射のための装置を総て開発完了後,日米科学技術協力事業(核融合)の実験の実施のため本試験研究にて開発した装置は昭和61年4月米国ローレンス・リバモア国立研究所に送り昭和61年6月及び昭和62年1月の二度にわたり本研究代表者らが派遣されて極低温核融合中性子照射した金属試料の極低温クライオ・トランスファー電子顕微鏡観察法による中性子照射損傷の基本単位である変位カスケード損傷欠陥の形成直後の観察に成功して、損傷過程の基礎過程の解明に大きく寄与した。核分裂中性子による極低温照射した試料のクライオ・トランスファーのための試料クライオ移送室の開発も考え方の点ではほぼ終了しているが、一部装置の製作を経費不足の点で残している。現在米国より送り返されているクライオ・トランスファー装置の日本への致着を待って残りの装置の製作を完了して京都大学原子炉実験所にて核分裂中性子照射実験をスタートする予定である。また重イオンによる低温照射した電子顕微鏡試料の極低温クライオ・トランスファー電子顕微鏡観察可能な照射試料室も今後製作して変位カスケード損傷過程の研究を行うよう続いて計画している。