著者
豊田 和弘 池田 聡子 森川 淳一 稲垣 善茂 一瀬 勇規 山本 幹博 白石 友紀
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

エンドウ褐紋病菌Mycosphaerella pinodesのマメ科植物に対する病原性が調べられた結果,本菌は自然宿主であるエンドウの他に,赤クローバー,ナツフジ,キハギ,アルファルファに感染する.これら植物における感染は,同菌の生産するサプレッサーによるナシ黒斑病菌に対する受容性誘導の程度と一致し,サプレッサーが本菌の宿主範囲を決定する因子であることをすでに報告した(Oku et al.,1980).ここでは,植物疾病の分子機構の解明に向けた新たなモデルシステムの開発を目的として,アルファルファに近縁であるMedicago truncatulaに対する褐紋病菌の病原性について調べた.この結果,各国より集められた18種のエコタイプの全てに感染し病斑が誘導されたが,うち2種では柄子殻の形成が認められた.M.truncatulaは,ゲノムサイズが小さく,遺伝子地図・ESTの充実,形質転換の容易さなどから,近年,マメ科のモデルとして選定されている.M.truncatula-M.pinodesの相互作用のモデル化は,病原性・共生といった多様な微生物との相互作用の理解につながる格好のモデルになるものと考えられる.
著者
平松 基弘 一瀬 勇規 白石 友紀 奥 八郎 大内 成志
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.53-58, 1986-01-25
被引用文献数
7

エンドウ褐紋病菌の生産するエリシターによるピサチン生合成の誘導とサプレッサーによるその制御について, ピサチンの前駆体である ^<14>C-フェニールアラニンをエンドウ葉組織に与えてしらべた。放射能のピサチンへのとりこみは, エリシター処理4.5〜6時間後に検出可能となり, その後増加した。エリシター溶液 (500 ppm) に 50ppmのサプレッサー(F5)が共存するとピサチンの生含成が起こらなかった。エリシターで, ピサチン生合成系を活性化したエンドウ葉にF5を与えると, ピサチン生合成は低下し, 一方, その中間産物である桂皮酸への放射能のとりこみが増加した。F5はピサチン生合成系に関与する酵素, PALと cinnamate 4-hydroxylase を in vitro で阻害した。ピサチン生合成系活性化に対するF5の阻害作用は可逆的であると考えられる。