著者
池田 聡子 毛利 陽介 川口 千晴 清益 功浩
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.131-134, 2021-06-20 (Released:2021-06-20)
参考文献数
9

今回,我々はRSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)反復感染時に重症化する症例から何らかのアレルギー因子がないかどうかを検討した.対象は2015年4月から2020年3月までの5年間に当科を受診し,RSV迅速検査で複数回陽性になった反復感染例31例を初回感染時と比較して重症化した重症群9例と重症化しなかった非重症群22例で比較検討した.アトピー性皮膚炎,喘鳴例では,重症群,非重症群ともに有意差はなかったが,食物アレルギーについては,重症群で有意に多かった.今回の検討では,反復感染時に重症化するアレルギー因子として食物アレルギーが示唆された.
著者
豊田 和弘 池田 聡子 森川 淳一 稲垣 善茂 一瀬 勇規 山本 幹博 白石 友紀
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, 2003-02-25

エンドウ褐紋病菌Mycosphaerella pinodesのマメ科植物に対する病原性が調べられた結果,本菌は自然宿主であるエンドウの他に,赤クローバー,ナツフジ,キハギ,アルファルファに感染する.これら植物における感染は,同菌の生産するサプレッサーによるナシ黒斑病菌に対する受容性誘導の程度と一致し,サプレッサーが本菌の宿主範囲を決定する因子であることをすでに報告した(Oku et al.,1980).ここでは,植物疾病の分子機構の解明に向けた新たなモデルシステムの開発を目的として,アルファルファに近縁であるMedicago truncatulaに対する褐紋病菌の病原性について調べた.この結果,各国より集められた18種のエコタイプの全てに感染し病斑が誘導されたが,うち2種では柄子殻の形成が認められた.M.truncatulaは,ゲノムサイズが小さく,遺伝子地図・ESTの充実,形質転換の容易さなどから,近年,マメ科のモデルとして選定されている.M.truncatula-M.pinodesの相互作用のモデル化は,病原性・共生といった多様な微生物との相互作用の理解につながる格好のモデルになるものと考えられる.