著者
三國 純子
出版者
文化女子大学
雑誌
文化女子大学紀要 人文・社会科学研究 (ISSN:09197796)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.81-95, 2002-01

何をどう教えるかは, 言語教育の永遠のテーマである。本稿では, 戦後の日本語教育の流れを, 初級に的を絞って教授法の観点から見直し, その時代の代表的な教科書を通して教師が何を重視し, どのような指導を行ってきたかを分析した。伝統的校本語教授法の時代, オーディオリンガル・メソッドの時代, コミュニカティブ・アプローチの三つの時代に作成された初級の教科書を取り上げ, 日本語教育の移り変わりを概観する。また, コミュニカティブ・アプローチの時代に移る先駆的な役割を果たした『文化初級日本語』の作成経緯, 問題点を解消していく過程にも触れ, 今後の日本言語教育の在り方を模索する。