著者
森下 高行 小林 慎一 三宅 恭司 石原 佑弌 磯村 思无 中島 節子 中島 捷久
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.944-949, 1992-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

インフルエンザウイルス感染症診断のPCR法による迅速性, 有用性の確立を目的としインフルエンザウイルスAH1, AH3, B型それぞれのHA遺伝子検出のためのプライマーを作製し, その検出感度, 特異性について検討した. また, インフルエンザウイルス集団発生から得られたうがい液からPCR法によりインフルエンザウイルスHA遺伝子の検出を試み, MDCK細胞による分離と比較有用性を検討した.今回, 我々が作製した3種類のプライマー対は亜型および型特異性を示し, いずれのプライマーも他の亜型, 型のインフルエンザウイルスに対し特異バンドを示さなかった. 検出感度はH1プライマーでは2pfu/50μl, H3では3.5pfu/50μl, Bは1.1pfu/50μlであった. PCR法によるうがい液からのインフルエンザ遺伝子の検出率はMDCK細胞によるウイルス分離率と比較し2-3倍高く, PCR法のインフルエンザ感染症診断における迅速性, 有用性が示唆された.