著者
松内 佳子 中島 節子
出版者
日本移植・再生医療看護学会
雑誌
日本移植・再生医療看護学会誌 (ISSN:18815979)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-13, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
31

本研究の目的は、小児期に生体肝移植を受けた患者が捉えている家族の様相について明らかにすることである。ナラティヴ・アプローチを用い、対象者6名にインタビューを実施した。対象者に共通したテーマとして【家族の気遣いや苦労への気づき】【家族の結束】【ドナーとなった親との強固な絆】【同胞への自責の念】を見出した。小児期に生体肝移植を受けた対象者たちは、成長発達過程にある療養生活での体験や、家族や医療者等から移植当時の話を聞くことにより、生体肝移植や療養生活を通じた経験を意味付けし、家族の様相を捉えていた。そして、自身の生体肝移植や療養生活における困難が家族の結びつきを強化した出来事と解釈する一方で、同胞への影響を省みた自責の念を抱いていた。同胞への自責の念やドナーとなった親との強固な関係性は、移植患者の自己概念や家族全体の関係性への影響を及ぼす危険性があると示唆された。
著者
森下 高行 小林 慎一 三宅 恭司 石原 佑弌 磯村 思无 中島 節子 中島 捷久
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.944-949, 1992-07-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

インフルエンザウイルス感染症診断のPCR法による迅速性, 有用性の確立を目的としインフルエンザウイルスAH1, AH3, B型それぞれのHA遺伝子検出のためのプライマーを作製し, その検出感度, 特異性について検討した. また, インフルエンザウイルス集団発生から得られたうがい液からPCR法によりインフルエンザウイルスHA遺伝子の検出を試み, MDCK細胞による分離と比較有用性を検討した.今回, 我々が作製した3種類のプライマー対は亜型および型特異性を示し, いずれのプライマーも他の亜型, 型のインフルエンザウイルスに対し特異バンドを示さなかった. 検出感度はH1プライマーでは2pfu/50μl, H3では3.5pfu/50μl, Bは1.1pfu/50μlであった. PCR法によるうがい液からのインフルエンザ遺伝子の検出率はMDCK細胞によるウイルス分離率と比較し2-3倍高く, PCR法のインフルエンザ感染症診断における迅速性, 有用性が示唆された.