著者
三宅 泰斗 松崎 浩之
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.334, 2014 (Released:2014-09-12)

2011年3月に生じた福島第一原子力発電所事故により、多量の放射性核種が環境中に放出された。ヨウ素131や放射性セシウム等の比較的短半減期の核種は被ばくの主な要因として注目され、事故後多くの研究者により測定され多数の報告があった。一方でヨウ素129や塩素36などの長半減期核種は、検出の難しさからこれまでほとんど報告されていない。これらの核種はウラン235の核分裂や中性子捕獲反応で生成したと考えられるため、事故前から炉内に存在し、今回の事故で環境中へ漏洩した可能性がある。また、これらの核種は半減期が長いために、核種の環境中での動態を調べるトレーサーとしても有用であり、継続的な調査が求められる。本研究ではこれまで、事故後に福島第一原子力発電所周囲から採取された表層土壌中のヨウ素129を加速器質量分析により測定し、ヨウ素129とヨウ素131の事故当初の同位体比の推定を行ってきた。この度、ヨウ素129を測定済みの土壌について、新たに塩素36の測定を試みたので、その結果を報告する。