- 著者
-
三宅 理子
- 出版者
- 島根大学教育学部
- 雑誌
- 島根大学教育学部紀要 (ISSN:18808581)
- 巻号頁・発行日
- no.43, pp.79-85, 2009-12-25
心理療法の過程で水イメージの重要性について考えさせられる機会は多い。本研究においては,「水のある風景」の描画とY-G性格検査との関連を検討した。水辺の種類を要因として,Y-G性格検査の12尺度得点,6因子得点について一元配置の分散分析を行った結果,協調性のなさの得点が海描画群に比べ雨描画群が高いことが確認された。さらに,絵がどのように描かれているかによって「水の形態」を「開」「流」「閉」「器」「滴」の5つに分類し分析に用いた結果,協調性のなさが「開」に比べ,「器」「滴」が高く,一般的活動性は「流」に比べて「滴」が低く,主導性得点は「閉」に比べて「器」が低いことを確認した。13;13; 以前,箱庭で表現される「水のある風景」とY-G性格検査との関連を検討したが(三宅,2004),それとはかなり異なる結果が得られた。その理由としては,まず,今回は箱庭では表現することが難しい雨の風景や生活に関わる水が多く表現されたことが挙げられるであろう。また,砂を掘ることによって表現する箱庭での水と,自ら色を塗ることによって作り出す描画における水とでは,その表現の意味合いがかなり違うのではないかということが示唆された。13;