- 著者
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川合 亮佑
藤野 雅彦
宮田 完志
湯浅 典博
竹内 英司
後藤 康友
三宅 秀夫
永井 英雅
小林 陽一郎
伊藤 雅文
- 出版者
- 一般社団法人 日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.5, pp.549-555, 2011
症例は73歳の男性で,66歳時に十二指腸乳頭部腺腫に対して内視鏡的乳頭切除術が施行されている.68歳時に悪性リンパ腫に対して化学療法を施行され完全寛解を得ている.平成20年9月,心窩部痛を主訴に当院を受診した.内視鏡的逆行性胆管膵管造影で総胆管結石と中部胆管の狭窄を認め,切石と狭窄部の生検,内視鏡的経鼻胆管ドレナージを行った.生検で腺癌と診断されたため,肝外胆管癌と診断し膵頭十二指腸切除術を施行した.胆管癌は肉眼的に乳頭浸潤型で表層拡大進展を呈した.病理組織学的に浸潤部はほとんど扁平上皮癌であったが,表層拡大進展部の粘膜内および線維筋層浸潤部に腺癌・扁平上皮癌の二方向性分化を認めた.また,固有筋層に浸潤する胆嚢癌も伴っていた.肝外胆管原発腺扁平上皮癌の本邦報告43例の中で,粘膜内で腺癌・扁平上皮癌の二方向性分化を認めた症例はなく,自験例は腺扁平上皮癌の組織発生を考察するうえで貴重な症例である.