著者
清水 哲也 関戸 仁 松田 悟郎 三宅 謙太郎 土屋 伸広 田 鍾寛
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.1162-1167, 2013 (Released:2013-11-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

症例は72歳,男性.上行結腸癌S状結腸癌同時多発肝転移左肺転移腹膜播種転移に対し,S状結腸切除術,結腸右半切除術施行した.se,ssn3M1H2P3,stage IVの診断で,術後FOLFOX4 療法を3クール.その後,内服化学療法を施行するもCEA29.5ng/mlとなり,mFOLFOX6 療法を開始した.開始24時間後嘔気,投与終了1時間後意識消失JCS III-300となった.画像検査,腰椎穿刺では異常を認めず,血中アンモニア濃度は339μg/dlで意識障害の原因は高アンモニア血症によるものと診断した.肝不全用アミノ酸輸液,肝不全治療薬使用し,意識消失後21時間で意識状態は改善した.その1カ月後,FOLFOX4 療法を開始した.FOLFOX4 療法再開後は8クール施行したが高アンモニア血症認めることなく施行できた.今回臨床上まれである 5FUによる意識障害を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
三宅 謙太郎 高川 亮 諏訪 雄亮 茂垣 雅俊 舛井 秀宣 長堀 薫
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.827-832, 2014 (Released:2015-10-30)
参考文献数
10

はじめに:術後の段階食は慣習として行われてきたものであり,味の満足度も高くないため必ずしも必要ではないとされているが,胃切除後の症例を検討した報告は少ない.目的:食事内容の満足度向上と,在院日数短縮のために導入した幽門側胃切除後に全粥で開始するパスの有用性を明らかにする.対象と方法:幽門側胃切除術を行った204症例を段階食群(A群)104例と全粥開始群(B群)100例に分け,A群は術後5日目に3分粥,B群は術後5日目に全粥で開始し,2群間の術後在院日数,合併症などを比較検討した.結果:術後合併症発生率に有意差は認めず(A群vsB群:19%vs20%,p=0.889),短期の予後栄養指数では有意差を認めなかったが,アンケート調査の満足度も高く術後在院日数はB群で2日短縮した(12日vs10日,p<0.01).結語:幽門側胃切除術後に全粥で経口摂取を開始することは,安全であり,患者満足度の向上,在院日数短縮に寄与すると考えられた.