著者
村田 厚生 三宅 貴士 森若 誠
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.226-235, 2009-08-15 (Released:2010-11-19)
参考文献数
19
被引用文献数
4 10

本研究では視線入力装置を利用し,視線入力で快適にパソコンを扱えるブラウザを開発するための基礎的な研究として,高いポイント精度,速いポイント速度を保証する条件を同定する実験と視線移動方向の影響を明らかにする実験を実施した.その結果,ターゲットの横方向配置のほうが縦方向配置よりもポイント精度が高かった.両配置ともに,ポイント精度を高めるには,20ピクセル以上のターゲット間隔,40ピクセル以上のターゲットサイズにすべきであることが示された.また,両配置ともにポイント速度を速くするためには,ターゲットサイズをできるだけ大きくすべきで,ターゲット間隔はポイント速度にほとんど影響しないことが示された.また,マウスと視線入力のポイント速度の差は,若年者よりも高齢者のほうが大きくなり,視線入力システムは手指の運動機能の低下した高齢者には有効であることが示唆された.視線移動方向の影響に関しては,下方向のターゲットに対するポイント時間が他方向よりも長くなった.
著者
村田 厚生 三宅 貴士 森若 誠
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.20-30, 2011-02-15
被引用文献数
2 4

本研究では,使いやすい視線入力ブラウザを開発するための基礎として,視線入力を用いたメニュー選択方法(I-QGSM法)を提案し,従来法(垂直表示,水平表示,サークル表示,QGSM法)との比較実験を実施し,若年者と高齢者に対してユーザビリティの優れたメニュー選択方法を明らかにした.高齢者に関しては,いずれの方法もマウスと同程度の作業時間でメニュー選択が可能であることが明らかになった.若年者については、視線入力を用いたサークル表示は避けなければならないことが示唆された.また,I-QGSMを用いると,エラー率が減少することが分かった.主観評価については,高齢者では,I-QGSMの評価値が高かった.以上より,I-QGSMを用いてメニュー選択を実施する場合には,マウスと比較して,高齢者は同等以上,若年者についてはほぼ同等の作業スピードでメニュー選択ができることが分かり,I-QGSMの有効性が示された.