著者
三木 怜 松本 邦彦 澤木 昌典
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.829-835, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
10

本研究は、商店街に立地し、地域との関わりを持つ小規模宿泊施設(以下、対象施設)に着目し、これらの交流機能や周辺店舗に依存する性質等が、商店街の活性化に寄与すると仮定を立てた。対象施設へのアンケート調査や、対象施設・商店街組織へのヒアリング調査から、対象施設が商店街へどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とする。アンケート調査より対象施設の運営主体は、商店街への帰属意識や商店街関係者との協力の程度が、開業時と比較して強くなっている傾向があることが明らかになった。また対象施設は4類型に分類でき、主要な開業目的が商店街や地域の活性化である商店街主導型3件と地域活性化主体型5件、地域活性化を目的としない多機能型5件と宿泊機能重視型10件であった。商店街主導型と地域活性化主体型では、宿泊者向けの商店街他店舗との交流を誘発するサービスを提供しているが、地域住民の商店街利用が増加するような影響はあまり確認できなかった。一方、多機能型は宿泊者以外の商店街利用が増加する効果もみられる等、結果的に商店街活性化に寄与していることが明らかになった。