著者
荒川 千恵子 三沢 浩 新井 啓一 三浦 史郎 渡辺 政利 新井 英明
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.203-214, 2000 (Released:2018-05-01)

本研究は公的集合住宅の建替時に,居住環境の連続性を確保するため,居住者から各人の「エピソード記憶」を聴き,建替計画に生かす手法の提案である。ふるさとに等しい住み慣れた団地に,彼らが喜んで戻れる計画手法がないからである。そこで4団地を対象に調査を行ない,「生活用語」を手掛かりにして記憶を引き出し,かつ自由記述で暮らしの状況をみた。加えて住まいの「空間用語」を使い,空間の良し悪しを聴いた。結果として,今までの計画では普遍性がないとして排除された個人の記憶を,建替時に活用し得ることが分かってきた。この手法は馴染みある団地の再建が期待でき,かつ居住者に計画への参加を広げる可能性も持っている。