著者
藤田 裕司 三浦 正子 細水 令子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.89-104, 1988-08

本稿は,女子非行に関するわれわれの一連の研究のうち,父-娘関係の病理性を主題としたものである。まず,第I章では,導入をかねて女子非行とその研究の動向を概観したのち,そのなかにおけるわれわれ研究の意義及び特色について要点を述べた。続く第II章では,今回われわれの研究対象となった非行少女の家庭状況がどのようなものであるかを,彼女たちが綴った作文をもとにして紹介するとともに,彼女たちの父親像を大きく三つに類型化し,それぞれの特徴等について順次検討を加えた。これを踏まえて,第III章では,父-娘相姦の問題を取り上げ,自験例に即しつつその実態及び非行化とのかかわりを明らかにした。最後の第IV章では,以上の論点を総括し,本研究から見た女子矯正教育の望ましい在り方について若干の提言を行い,今後の課題提起とした。As a sequel to the previous study on"female criminality,"the present study,made up of four parts,aimed at revealing the psychopathological aspects in father-daughter relationships of delinquent girls.Firstly,the current topics of researches in this field were reviesed,and special emphasis was laid on the methodological uniqueness of our studies.Secondly,based on our 140 subjects' compositions concerning their families,a brief description of their domestic troubles was given,and focally their typical father images were clarified.Thirdly,nine cases of father-daughter incest were analyzed in detail in connection with her delinquent process or mechanism.This analysis formed a leading part of this paper.Lastly,in the light of the above-mentioned points,a proposal was made on the correctional education for girls as it shoud be.
著者
三浦 正子
出版者
中部大学現代教育学部
雑誌
現代教育学部紀要 (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
no.1, pp.165-172, 2009-03

戦後の1947年に児童福祉法が制定された。この児童福祉法第45条「児童福祉施設最低基準」に保育所の最低基準がある。現在もなお4 歳以上児に対して保育士配置基準の改善がされず当時のままである。保育所は、社会の変化に対応しながら、保育に対するさまざまなニーズをとりいれて、子どもたちの健やかな育成を今日までに担ってきたのである。このことは、保護者や社会的な協力もさることながら、保育士の密度の濃い仕事ぶりで乗り越えてきたといっても過言ではない。保育所における最抵基準の保育士配置基準に焦点をあて、その雇用形態の現状を明らかにし、保育所に求められている多様な役割に対して、現状の保育士配置基が適切に応えられているかどうか検討する必要があった。その結果、保育の現場での保育士の努力や能力によって解決できる課題ではないことが明らかとなり、最低基準の改善に向けた論議を活発化する必要がある。