著者
三浦 浩二 修 岩 鶴井 博理 高橋 和子 張 丹青 広瀬 幸子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.384-395, 2002-12-12
参考文献数
32

目的:リンパ濾胞胚中心はT細胞依存性抗原の刺激に際し,抗体の親和性成熟やメモリーB細胞の形成・維持に働く重要な部位である.全身性エリテマトーデス(SLE)の各種自己抗体もT細胞依存性に親和性成熟を示すので,リンパ濾胞胚中心が病的自己抗体産生に重要な役割を担っていると考えられる.この観点からわれわれは,SLEを自然発症する(NZB×NZW)F1マウスとBXSBマウスの脾臓リンパ濾胞胚中心の免疫組織化学的特徴を解析した.方法:加齢に伴い自己抗体を産生するSLE自然発症(NZB×NZW)F1マウスとBXSBマウスの脾臓リンパ濾胞胚中心を免疫組織化学的に解析し,正常マウス系にT細胞依存性抗原を免疫した時に形成されるリンパ濾胞胚中心の構築との比較検討を行った.結果:(1)SLEマウスでは,SLE発症前から既に胚中心の形成が見られ,加齢に伴って高度な過形成が認められた.(2)正常マウスにT細胞依存性抗原を免疫した時に形成されるリンパ濾胞胚中心と比較すると,SLE胚中心にはT細胞が相対的に多く認められた.(3)正常BALB/cマウスの濾胞樹状細胞には補体レセプターCR1やFcレセプターFcγRIIBおよびリンパ濾胞胚中心抗原FDC-M2の発現が見られたが,SLEマウスではFcγRIIBとFDC-M2の発現は加齢とともに消失することが明らかとなった.結論:SLEの過形成胚中心の成因には,濾胞樹状細胞上の免疫機能分子の統御異常が関連していると考えられた.CR1は濾胞樹状細胞とB細胞との接着やB細胞の維持に重要な分子である.一方,FcγRIIBは細胞質内ドメインにシグナル抑制ITIMモチーフを持つ分子なので,正常では濾胞樹状細胞の機能の制御に働いている可能性がある.現在機能が明らかでないFDC-M2を含め,今後.これら各分子の働きや相互作用を調べることでSLEの発症機構の一端が明らかになると思われる.
著者
末廣 輝男 大久保 晃男 佐藤 憲夫 三浦 浩二 古賀 秀昭 太田 照明 大久 正敏 高橋 弘之
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.121-123, 1977

気柱の開口端で音叉を鳴らしながら気柱の長さを変化させ,音の強弱を耳で聴取して共鳴点を探る実験は従来から高校あるいは大学教養課程の物理学実験のテーマとして取上げられてきた.この実験は直接的である点で秀れているが,反面,音叉の振動が早く減衰すること,音圧最大の点を耳で判断するためにあいまいさが残ること,誤差を見積るのが難かしい等の問題がある.このため充分に定量的な実験とは言いかねる欠点があった.そこで音叉のかわりに低周波発振器と低周波増幅器に接続されたスピーカーを音源に用い,更に共鳴点ではスピーカーコーンの振幅が大きくなることを利用してスピーカーボイスコイルからコーンの振幅に比例した電圧を取出し,これをメータで読むことにより共鳴点を見出すことにした.これにより実験の精度および再現性が向上し,気柱の直径を変えた時の音速の変化等も検知することができた.