著者
廣瀬 雄紀 木下 晃吉 木下 勇次 石本 詩子 柴田 恵子 山口 るり 赤須 貴文 三浦 由紀子 横田 健晴 今井 那美 岩久 章 木島 洋征 小池 和彦 猿田 雅之
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.355-362, 2018-07-20 (Released:2018-07-27)
参考文献数
32

症例は84歳の男性.C型肝硬変で当科へ通院中.肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)に対して,局所治療や血管内治療を繰り返していた.肝内に多発再発を認めたが,腎機能障害のため血管内治療は継続困難となった.テガフール・ウラシル配合剤投与を行うも腫瘍マーカーは上昇傾向であり,投与を中止した.その後HCCは経時的に増加・増大し,多発肺転移も認めた.免疫賦活作用を期待して十全大補湯を開始したところ,開始1カ月後に腫瘍マーカーは著明に低下し,開始6カ月後には一部の肝内病変は縮小し多発肺転移は消失した.十全大補湯による抗腫瘍効果と考えられ,推奨された治療に対して抵抗性,または肝機能不良の進行HCC症例に対して,1つの選択肢となり得る可能性が示唆された.
著者
今井 小百合 高崎 裕子 三浦 由紀子 渡辺 好政
出版者
JAPANESE ASSOCIATION OF CERTIFIED ORTHOPTISTS
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.145-151, 2004-07-31 (Released:2009-10-29)
参考文献数
7

目的:開散麻痺は中枢神経系の器質的病変によるものとされているが、単独でおこることも多く、臨床上同様な症状を示す他の疾患と鑑別することは難しい。治療は複視の解消を目的に行われる。我々視能訓練士は臨床上プリズムを使用する頻度は高い。そこで開散麻痺が疑われた内斜視症例に対し行ったプリズム治療について報告する。対象及び方法:対象は過去5年間に開散麻痺様の内斜視を示した初診時年齢39歳から83歳の6例。内科および神経学的検査を行った後、眼位、眼球運動、両眼視機能、融像幅の検査をプリズムあるいは大型弱視鏡、Hess Chartプロジェクタを用いて行った。プリズム度数は遠見時の両眼性複視が解消する最小のものを求めた。最終来院時にはプリズム眼鏡装用による日常生活での自覚的な改善について調査した。結果:開散麻痺が疑われた遠見内斜視により自覚する両眼性複視を解消するためにプリズム治療を行った結果、4例ではプリズムは不要あるいは減少となった。プリズム眼鏡装用により、複視は全例で解消され日常生活の自覚症状は改善された。結論:前駆症状に頭痛があった2例は、早期にプリズム治療を開始できたこともあり遠見内斜視による両眼性複視は解決した。プリズム使用前には、事前の十分な説明と患者の要望に沿った装用練習が必要である。これらを行うことで高齢者でもプリズム眼鏡装用が可能となった。プリズムは日常生活の自覚症状を改善し、複視を解消する選択肢の1つであると確認できた。