著者
三田村 拓磨 田中 章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.11, pp.125-135, 2022-11-01

様々な科学技術分野で重要な役割を担う最適化問題において,しばしば行列変数に直交制約が課される.当該制約の表現には様々あるが,その可微分性やパラメータ表示の簡便さから,歪対称行列のCayley変換により直交行列を生成する手法が採用されることが多い.しかしながら,歪対称行列のCayley変換では,全ての直交行列を網羅できないことが問題となっている.本論文では,歪対称行列全体に対するCayley変換の像が,直交行列全体からなる集合のどのような部分集合になっているかを主論点として理論解析を行い,結果として,それが正規直交基底の同値類の代表元を必ず生成できることを示す.このことは,歪対称行列のCayley変換を用いる妥当性が保証される最適化問題の範囲を明確化する.