著者
清野 純史 三輪 滋 古川 愛子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学論文集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.412-419, 2007

地震時の墓石の転倒現象については, 実験と解析の両面から多くの研究が行われているが, 耐震補強された墓石の地震時挙動や補強効果について検証を行った研究は見当たらない. 本研究では, 墓石の代表的な耐震補強工法の効果を検証することを目的として, 墓石の実寸大模型を用いた振動台実験を実施した. 現在多く採用されている耐震補強工法の中から, 連結工法と免震工法に着目した. 連結工法の中からダボ工法と長ボルト工法, 免震工法の中から免震金具工法, 免震ゴム工法, エアーダンパー工法を採用した. デジタルカメラで撮影された画像と墓石試験体の加速度記録から, 各補強工法の効果と問題点について検討・考察を行った. 連結工法である長ボルト工法と免震工法である免震金具工法の効果が確認できた.
著者
富松 義晴 三輪 滋 濱田 政則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践) (ISSN:21856613)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.63-73, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本論文は,現在の土木を取り巻く閉塞的状況の根源を,土木事業と民衆とのかかわりの歴史の中に探り,土木の新しい展開の方向性を示したものである.まず,社会の土木事業に対する嫌悪感にも似た批判の原因として,日本の土木事業がどの時代においても権力者側の要求に沿って行われてきたこと,および民衆が共感し合意した公共の理念が形成されて来なかったことを述べる.また,明治以降,西欧的自然観のもと急速な社会基盤の整備が行われ,無制限に資源を採取し続けた結果,地球的規模での自然生態系の破壊が進行していることも土木に対する社会的評価の低下の要因として論述する.これらの閉塞的状況から土木が脱却するための方向として,土木技術者としての公共哲学の確立と西欧的自然観から日本人の自然観への回帰の必要性を示す.
著者
三輪 滋 筒井 雅行 本山 寛 池田 隆明 沼田 淳紀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_1250-I_1265, 2012 (Released:2012-07-26)
参考文献数
42
被引用文献数
2

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,日本国内で観測史上最大のマグニチュード9.0を記録し,津波により多くの人命が奪われた.また,東日本の広範囲にわたり地震による被害が発生した.関東地方では,東京湾岸の埋立て地だけではなく,内陸部においても各地で液状化による被害が発生した. 今後の地震防災対策を考える場合,被害の全貌を工学的に把握する必要がある.そこで,地震被害の記録を残すことを目的に,海岸埋立て地の東京都江戸川区,千葉県浦安市,および江戸川区に隣接する内陸部の葛飾区,さらに千葉県野田市から埼玉県幸手市,久喜市,加須市,その周辺について液状化被害調査を行った.その結果,沿岸部では,比較的年代の新しい埋立て地で液状化が発生したこと,また,液状化の程度が激しい地域が広範囲にわたっていることがわかった.内陸部における液状化については,多くは,旧河道,湿地帯を造成した場所で発生したことがわかった.