著者
若松 加寿江 濱田 政則 野勢 辰也 犬塚 真一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.421-424, 1999 (Released:2010-06-04)
参考文献数
6

液状化による流動量を予測する式はいくつか提案されているが, 地表面勾配など専門家による測量が必要なパラメータが導入されており, 予測式の適用は必ずしも容易ではない. そこで, 本研究では1m以上の水平地盤変位を伴う側方流動が発生するか否かを簡便に判定するクライテリアを作成することを目的として, 1964年新潟地震の際の液状化発生地域における地盤条件の分析を行った. その結果, 1m以上の地盤変位は液状化層厚や液状化層の換算N値との相関が高く, 従来, 液状化発生の簡易判定に適用されてきたN値と深度 (有効上載圧) の関係や, 液状化層厚とその上部に存在する非液状化層厚の関係に基づく限界曲線のみから, 1m以上の地盤変位発生の有無を判別することは困難であることなどがわかった.
著者
沼田 淳紀 吉田 雅穂 濱田 政則
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.305-315, 2009-09-25 (Released:2009-09-28)
参考文献数
74
被引用文献数
2 3

温室効果ガス削減の一方策として,木材利用を拡大するとともに木材を長期利用することが考えられる。このために建築の分野では,耐久性の長い住宅建設の取り組みなどが既に行われている。一方,土木の分野では,本体工事に木材を使うことはほぼ皆無となってしまった。著者らは,地盤の液状化対策として木材を地中に打設することを考えている。本論文では,この内,木材を利用する上で大きな誤解が持たれている木材の耐久性について検討を行った。まず,代表的な設計書に示される木杭基礎の変遷を示し,現在ではこれらの設計書から木杭の記載が姿を消したことを示す。次に,木材の腐朽に関する文献調査結果から,地中における木材の耐久性について示す。さらに,1964年新潟地震の事例より,木杭が液状化対策として用いられた事例を示し,最後にそれによる炭素貯蔵効果を示す。
著者
富松 義晴 三輪 滋 濱田 政則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F5(土木技術者実践) (ISSN:21856613)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.63-73, 2012 (Released:2012-11-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本論文は,現在の土木を取り巻く閉塞的状況の根源を,土木事業と民衆とのかかわりの歴史の中に探り,土木の新しい展開の方向性を示したものである.まず,社会の土木事業に対する嫌悪感にも似た批判の原因として,日本の土木事業がどの時代においても権力者側の要求に沿って行われてきたこと,および民衆が共感し合意した公共の理念が形成されて来なかったことを述べる.また,明治以降,西欧的自然観のもと急速な社会基盤の整備が行われ,無制限に資源を採取し続けた結果,地球的規模での自然生態系の破壊が進行していることも土木に対する社会的評価の低下の要因として論述する.これらの閉塞的状況から土木が脱却するための方向として,土木技術者としての公共哲学の確立と西欧的自然観から日本人の自然観への回帰の必要性を示す.
著者
鈴木 信行 鈴木 明人 濱田 政則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.72-85, 2007 (Released:2007-03-20)
参考文献数
21
被引用文献数
2

建設施工にPMBOKなどの近代的マネジメント手法を適用することは有効である.本研究ではPMBOKの9つのマネジメント要素をどのように適用しているかをアンケート調査で求めた.その調査結果をもとにデザインストラクチャーマトリックス(Design Structure Matrix)を用いて建設施工マネジメントのプロセスを分析した.さらにマネジメント要素間の相互依存性をネットワークモデルと捉え,グラフ理論を用いてネットワーク特性を分析し,建設施工における効果的なマネジメント順序を提言した.その結果,従来重視されていないスコープマネジメント及びコミュニケーションマネジメントがマネジメント全体の効率化に重要であることが明らかとなった.
著者
濱田 政則 外崎 真理雄 吉田 雅穂 沼田 淳紀
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本成果は、土木工学分野と森林分野の学際的な研究により、液状化・流動化対策として木材活用ができることを示した。具体的には、木材打設により液状化被害を低減できること、地中における木材の腐朽が発生する環境を明らかにし、さらに、木材を利用した場合の温室効果ガス削減効果を定量的に示し、地球温暖化防止対策として成立するための必要なシナリオを明らかにした。これらについて、ガイドラインとしてまとめた。
著者
佐藤 忠信 小長井 一男 堀 宗郎 澤田 純男 本田 利器 盛川 仁 張 至鎬 濱田 政則
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、エジプト側研究協力者が主体となりナイルデルタを取り巻く地震活動資料の収集を行った。また、過去に発生しカイロ市に被害を及ぼした地震の断層破壊過程を明確にするとともに、将来発生する地震のシナリオを作成した。日本側研究分担者はエジプト側研究者の協力の下にカイロ市を取り巻く地域の詳細な地盤調査の資料収集を行った。収集した資料の内容は以下のようである。1.ボーリング調査(PS検層、サンプリングを含む)と室内試験2.微動調査および屈折法探査(板叩き)による地盤構造調査3.重力異常による深層地盤調査4.RI(ラジオ・アイソトープ)コーン貫入試験による浅層地盤物性調査さらに、得られた資料からカイロを含むナイルデルタ地帯の地盤構造をモデル化するとともに、エジプト側の研究協力者と共同して、ナイルデルタ地帯の地震危険度マップを作成した。特に、今年度は最終年度であるので、平成18年9月にエジプト国立天文台・地球物理学研究所を研究分担者全員と研究協力者1名の合計6名で訪問し、研究の途中経過発表会をエジプトで開催するとともに微動観測点の選定を行なった。また、カイロ内の特定構造物の耐震性能を評価するために用いる動的解析用の入力地震動のシミュレーション方について議論した。特定地点を選定し微小地震の観測を継続するためのプロジェクトを立ち上げた。そのために必要な予算措置をエジプト国家地震局に申請すると共に、エジプト国立天文・地球物理学研究所の地震観測網を利用してナイルデルタにおける微小地震活動を評価した。