著者
中田 大輔 三輪谷 俊夫 繁田 幸男 上保 俊男 菅 賢郎
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Journal of Antibiotics, Series B (ISSN:04478991)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.327-329, 1953-07-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
11

細菌の生化学的変異株 (Anxotrophic mutant) を利用して細菌のアミノ酸代謝を研究し, アミノ酸, ビタミン等の微生物学的定量をおこなうことが盛んになつている。変異株分離に際しての技術的な困難さが問題となつていたが, DAVIS (1948), LEDERBERG (1948) によつてそれぞれ別個に考案発表されたペニシリン・スクリーニング法によつて, 比較的容易に変異株が得られるようになつた。ペニシリンが増殖期にある細菌には強い抗菌性 (殺菌性) をもつが, 静止状態の細菌には作用し難いという特性を巧みに利用した方法であつて, 生物学領域においてのペニシリンの特殊な応用面として興味深いものである。私達は実験菌としてSalmonella enteritidisを用い, まずペニシリン・スクリーニングの再現性を確め, ついでこの方法を応用してS. enteritidisのアミノ酸要求性変異株を分離することができたので, その成績を報告する。