著者
上原 明 塩谷 孝夫 上原 清子
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、ヒト心室頻拍患者の心筋リアノジン受容体の点変異体K4750QをIn vitro再構成し、変異体の単一チャネル電流特性とCa2+動態を検討した。その結果、細胞質側Ca2+による活性化、細胞質側Ca2+による不活性化、小胞体内腔側Ca2+による活性化の3つから成るRyR2のCa2+感受性機構群は、全てCa2+リーク能が劇的に高まる方向に変化していた。これは、3つのCa2+リガンド結合部位群からのCa2+結合に伴う構造変化の情報がK4750を含む箇所で収斂される部位に変異が入っていることで説明される。変異RyR2発現細胞では、Ca2+リーク亢進による小胞体内口腔のCa2+枯渇も確認された。
著者
上原 清子
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

脾洞内皮細胞の血球通過機構を解明する一環として、内皮細胞の微細構造を透過型電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、computerを用いて調べ、脾洞内皮の収縮機構を微細構造学的に検討した。脾洞内皮細胞の細胞間結合と透過性について、freeze fracture法、細胞質抽出法、細胞間標識tracer法を用いて透過型電子顕微鏡で調べた。細胞基底側にtight junctionが観察された。それらは不連続でreplica上でtight junctionのstrandsは数も少なく、頂部-基底方向に走り、閉鎖していなかった。トレーサーの硝酸ランタンは電子密度の高い物質として細胞間隙やtight junctionを通過した部位に観察される。脾洞内皮細胞間ではtight junctionのある膜の癒合部以外はどこの細胞間隙にも存在していた。脾洞内皮でのtight junctionのfence機能、gate機能は弱いと考えられた。脾洞内皮細胞内の開放小管系の存在を細胞外標識tracer法用いた微細構造の観察とその結果をcomputerで3次元的に証明した。これまで開放小管系は血小板にしか存在の報告がない。tracerを用いて内皮細胞内に見られる小胞系のあるものは細胞膜から連続した細い開放小管系であることを証明した。また、computerで3次元的解析を行い、開放小管系が細胞内を分岐吻合しながらnetworkを作り、stress fiberやキャベオラに密接して走っていることが解った。内皮細胞には数多くのcaveolaeが存在する。caveolaeを構成するcaveolinにはcaveolin-1,-2,-3があり、このうちcaveolin-3は筋に特異的に発現する事が解っている。脾洞内皮細胞にcaveolin-3が存在することを共焦点レーザー顕微鏡と免疫電子顕微鏡法を用いて明らかにした。caveolin-3は細胞質の頂部、側部、底部いづれにも観察された。細胞質内の小胞様の構造にも反応が見られた。