著者
上原 明 塩谷 孝夫 上原 清子
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、ヒト心室頻拍患者の心筋リアノジン受容体の点変異体K4750QをIn vitro再構成し、変異体の単一チャネル電流特性とCa2+動態を検討した。その結果、細胞質側Ca2+による活性化、細胞質側Ca2+による不活性化、小胞体内腔側Ca2+による活性化の3つから成るRyR2のCa2+感受性機構群は、全てCa2+リーク能が劇的に高まる方向に変化していた。これは、3つのCa2+リガンド結合部位群からのCa2+結合に伴う構造変化の情報がK4750を含む箇所で収斂される部位に変異が入っていることで説明される。変異RyR2発現細胞では、Ca2+リーク亢進による小胞体内口腔のCa2+枯渇も確認された。
著者
塩谷 孝夫
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

心筋の細胞膜には、細胞膜Caポンプ(PMCA)とNa/Ca交換(NCX)の2種類のカルシウム輸送体が存在する。本課題ではマウス心筋細胞からのホールセルクランプ記録と局所Ca2+濃度分布のコンピュータシミュレーションを用いてこれらの機能連関を調べ、次の結論を得た。1)心筋細胞のPMCAは自身の近傍の細胞内Ca2+濃度を低く維持し、その局所Ca2+濃度をシグナル媒体としてNCXを調節する。2)このNCX調節はリバースECカップリングを抑制し、活動電位の過度な延長を防止する。