著者
村田 健史 上田 裕子 上岡 功治 臼井 英之 岡田 雅樹 大村 善治 松本 紘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1411-1425, 2002-08-01
被引用文献数
7

現在,プラズマ粒子シミュレーションは,プラズマ観測・応用の様々な分野において用いられている.本研究では,既存のコードをもとに,オブジェクト指向開発技法によりプラズマ粒子シミュレーションコードを設計した.設計したモデルは,プラズマ粒子コードの基本的な機能を有するスケルトンモデルである.オブジェクト指向分析設計方法論によるプラズマ粒子コードの設計については,これまで,詳しい報告がなかった.したがって本論文では,本設計をもとに独自のプラズマ粒子コードを設計できるよう,オブジェクトクラスの洗い出しからデザインまでを詳細に説明した.更に,このデザインに基づき,オブジェクト指向プラズマ粒子シミュレーションコードを,C++言語により実装した.実装コードの基本動作及びコードの再利用性を確認し,更に,既存の手続き型言語によるコードとの,処理速度の比較を行った.その結果,実装したオブジェクト指向コードは,Fortranによる既存コードと比較し,最大3倍程度の計算時間を必要とするが,高い再利用性を有することがわかった.