著者
上嶋 浩順
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.282-286, 2019-05-15 (Released:2019-06-19)
参考文献数
23

声門上器具である「ラリンジアルマスク」の登場から約40年が経過した.ビデオ喉頭鏡などのさまざまな気道確保器具が登場しても,声門上器具の最も迅速に気道確保できる利点は現在においても変わりない.英国の手術室,救急室,集中治療室での1年間の麻酔中に発生した合併症を検討した「NAP4 study」の報告以降,誤嚥をできる限り予防する目的にて胃管アクセスが装備されている「第2世代」の声門上器具が推奨されている.手術室以外での気道確保においても声門上器具は迅速に気道確保できる器具として有効である.今後は内視鏡室を含めた手術室外での気道確保にも声門上器具の使用が望まれており,用途に合わせた声門上器具が開発されている.声門上器具は気道確保を行うための重要な器具として今後も進化を続けなければならない.
著者
羽場 政法 駒澤 伸泰 藤原 俊介 上嶋 浩順 水本 一弘
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.241-246, 2016-03-15 (Released:2016-04-20)
参考文献数
15

日本麻酔科学会が行っている麻酔関連偶発症例調査によると手術による大量出血は,死亡原因の上位を占めている.また術中発症の病態として「急性冠症候群」は発症頻度も高く,心停止への移行頻度が高い.二次救命処置講習会で学んだことを実践するには,二次救命処置講習会受講により,適切な知識を得た後,1.手術室の状況に合った患者モデルの使用,2.原因疾患に応じた知識の習得,3.症例に対応するための環境整備の検討,4.メディカルスタッフとのチームコミュニケーションを学ぶ方法が必要である.Problem-based Learning Discussion形式のトレーニングは,それぞれの受講生に応じた知識の体系化が可能であり,ディスカッションを通してチームコミュニケーション(ノンテクニカルスキル)をつくることも期待される.チーム医療を推奨する周術期管理において,これらのPBLD形式のツールが医療安全向上に貢献できるのではないかと考えた.
著者
上嶋 浩順
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.131-135, 2017

<p>「伝えるプレゼンテーションに必要な要素は?」と聞かれると「プレゼンテーションがうまい先生を見てください」と答えてしまいそうだが,それでは答えにはならない(つまり伝えるプレゼンテーションになっていない).「伝える」には,「話す」「書く」「聞く」などの行為すべてを含む.まさに「伝える」行為は「コミュニケーション」行為と同じである.あなたの周りの「コミュニケーション」がうまい先生は,きっと「プレゼンテーション」もうまい先生に違いない.「プレゼンテーション」がうまい先生は,「伝える力を培う」「相手を惹きつける」「わかりやすく伝える」の3要素が備わっている.これが私の考える伝えるプレゼンテーションに必要な3つの要素である.</p>