著者
今野 美紀 丸山 知子 和泉 比佐子 澤田 いずみ 上村 浩太
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は(1)入院児の親を対象に家庭における喫煙状況を調査し、子どもへの受動喫煙の実態を調査する、(2)入院児の親を対象に「禁煙と健康支援活動」を行い、その効果を親の変化と携わった看護師の変化から検討する、以上の2点を目的に調査と看護介入を行った。1.入院児をもつ親の家庭における喫煙状況入院児の喫煙する親50名への調査の結果より、児の殆どは家庭内で受動喫煙に曝露されていた。作成したパンフレットから「換気扇や空気清浄機ではタバコ煙の影響を無くせないこと」を新たに学んだ、と述べる者もおり、禁煙・分煙について正確な知識提供の必要性が示唆された。禁煙に無関心な親は「喫煙をストレス解消の手段」と捉えていたが、禁煙に関心ある親は子どもや家族、自分の健康への影響を案じており、医療者からの禁煙助言を希望する割合が増えた。2.入院児の親に行った「禁煙と健康支援活動」の効果平成17〜18年度に療育目的に母子入院した児の親61名を対象に「禁煙と健康支援活動」を行った。その結果、親の喫煙知識が増えたが、本人の喫煙本数、禁煙の準備性に変化は見られなかった。看護師の喫煙知識は有意に増え、禁煙に携わる自信も次第に高まった。看護師は無関心な喫煙者に対応する困難さや子どもの障害のリスクゆえに喫煙を話題にする躊躇を覚え、親の禁煙意思に影響を与える環境の大きさを感じながらも、入院児の親の禁煙試行を励まし、子どもの健康と関連づけて禁煙の動機付けを高めるよう情報提供をしていた。病棟としては親の禁煙への関心を喚起し、禁煙を話題にしやすい雰囲気を醸成していた。