著者
高橋 延昭
出版者
札幌医科大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 研究成果展開事業 地域事業 地域イノベーション創出総合支援事業 シーズ発掘試験
巻号頁・発行日
2009

コンブに刺胞動物ヒドロゾアが付着するとその商品価値が半減する。ヒドロゾアは種によりポリプ型とクラゲ型の両方あるいは片方単独の生活史を営むことが知られている。コンブに付着するそのヒドロゾア(モハネガヤと云われている)の生活史は、いまだ不明で、その付着対策も練られていない。本研究はそれを立案するため、そのヒドロゾアの全生活史を解明するために、生態学・環境調査および培養法の確立を目指すものである。
著者
佐藤 敏行
出版者
札幌医科大学
巻号頁・発行日
1987

博士論文
著者
澤田 いずみ 丸山 知子 吉野 淳一 今野 美紀 片倉 洋子
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

I.研究の目的夫婦間暴力を受け夫と離別した女性の心身の健康状態を明らかにし、暴力が女性の健康に与える長期的な影響とヘルスニーズを明らかにすること。II.研究方法1.質問紙調査1)対象:過去に夫婦間暴力を背景に民間のシェルターに援助を求め、現在は夫と離別して生活している女性100名。2)調査の内容:(1)身体・精神症状32項目、(2)IES-R、(3)Zungうつ病自己評価尺度、(4)受診状況と受診ニーズ、(5)基本的属性、(6)暴力の被害状況、(7)生活習慣を尋ねた。3)回収結果:調査用紙の回収数は67部(回収率67.0%)であった。2.聞き取り調査1)対象:1次調査の参加者で面接への同意が得られ、離別後3年以上を経過していた20名。2)面接内容:20名のうち14名に夫と同居中、別居した直後、現在での健康状態とヘルスニーズについて1〜2回の半構造化面接を行い、逐語録を作成し内容分析を行った。III.調査結果質問紙調査の結果、夫と同居中、約8割の女性が抑うつ状態を体験していたが、夫からの暴力により受診行動が制限されていた。離別後では、約5割の女性が「憂うつな気分」「眠れない」「疲れやすい」などの症状を"まあまあ"又は"かなり"感じており、約3割の女性に軽度以上のうつ状態、7割の女性にPTSDが疑われる状態であることが示唆され、健康に問題を自覚している女性のうち約5割が暴力と関係していると認識していた。心身症状は離別期間の経過に伴い減少するものもみられるが、個人差が大きく顕著な統計学的な関連を認めなかった。面接調査においては、暴力によるソーシャルサポートの分断や経済的困難などの生活基盤の脆弱性や、暴力の影響を受けた子どもの健康状態が、女性たちの健康状態の回復に影響していることが示唆され、離別後の親子を総合的に支援することが必要と考えられた。今後は、健康状態の個別性の背景と回復の過程を明らかにする予定である。
著者
高田 純 田中 憲一
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

前歯からのベータ線計数による骨格のストロンチウムを中心とした、内部被曝線量のその場評価の研究を行った。本研究は、代表者のこれまでの海外核ハザード地域での調査から開発した方法にもとづいている。3年間の実施期間では、核爆発災害のあった楼蘭遺跡周辺のウイグル地域からの在日外国人、韓国人留学生による、日本人の前歯ベータ線計測を行い、結果を、その場で、被験者に説明した。今回の結果は、全員が、検出限界以下のレベルであった。放射線被曝の線量と健康影響を、一般人に理解されやすいように、説明資料を3種作成した。さらに、「ソ連の核兵器開発に学ぶ射線防護」の図書を作成し、刊行した。これらの資料を活用し、国内外でセミナーを行った。2011年3月に福島で発生した核放射線災害に対して、内部被曝その場調査が、実施された。この調査は、福島県民の低線量を効率よく明らかにし、直ぐに、図書「福島嘘と真実」を出版することができた。
著者
加茂 憲一
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,がん罹患・死亡データから特に全国規模のデータに着目し,それを解析するための手法の開発を行った.ロジスティック回帰モデルとモデル選択規準量を用いて,全国罹患数推計に関して,登録の完全性を補正する方法を構築し, 現在の報告値が20〜30%ほどの過小評価である可能性を指摘した.また,生命表の考え方を用いて,がん罹患・死亡生涯リスク確率を推定し,男性の2人に1人が,女性の3人に1人ががんに罹患するという結果を得た.
著者
大島 直行 木田 雅彦 石田 肇 百々 幸雄
出版者
札幌医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

続縄文時代恵山文化の形成と展開に際しての、本州弥生文化の影響の実態と把えるため,北海道豊浦町礼文華貝塚の発掘調査を実施した。調査の結果,次の点が明らかになった。1.貝塚の規模は,約500m^2であった。貝層の堆積は、最も厚いところで1mを計。形成時期については,縄文時代晩期終末に始まり,続縄文時代恵山期と比較的長期にわたることが明らかとなった。2.遺構は,残念ながら墓の発見はなかった。ただし、立地条件や過去の調査結果などから、本遺跡の墓地としての可能性は大きく,埋葬遺構の発見も,将来的に期待される。本調査においては,イルカの埋納土壙の発見があった。全国的にも、きわめて珍らしい検出例である。土壙は、直径約100cmの円形を呈する。埋土を10cm程掘り下げた段階で,頭骨を中心とする大量のイルカの骨があらわれた。その数は12個体分だが,調査は土壙の約半分にすぎないことから、全体ではさらにその数が増すものと思われる。おそらく、「送り場」的な性格を持つ遺構と考えられ、たいへん興味深い。3.出土遺物の中で,特に注目されたものに土製紡錘車の出土がある。恵山文化期の包含層中より出土したもので,北海道出土の紡錘車としては,最も古い例となった。おそらく、本州の弥生前期〜中期段階の資料と深く関係するものと思われ、有珠10遺跡より出土した南海産貝輪とともに,北海道への弥生文化の波及を示す、興味深い資料の追加となった。
著者
松村 博文
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、東南アジアの人々と縄文人の起源と成り立ちを、古人骨の歯と頭骨の形態学的研究により明らかにするものである。この問題では、新石器時代以降の中国からの北方アジア系集団の拡散により、先住のオーストラロ・メラネシア系集団と混血し、現代東南アジア人に至ったとする「混血モデル」と、東南アジアにはもとよりいわゆる古アジア系集団が居住しており、現代に至るまで遺伝的に連続しているという「地域進化モデル」が提唱されている。これらの二大仮説のどちらが正しいのかを、形質人類学の立場から検証するための鍵となるのが、一つには歯の形態の解釈である。もう一つの重要なアプローチは、新石器時代以前の古人骨の形態分析であり、その頭骨などの形態がオーストラロ・メラネシア系集団の特徴を持つか否かが鍵となる。本研究による歯の形態学的データの解析からは、混血モデルを強力に支持する結果が得られた。Sundadontと称すべき歯列をもつ集団は、後期旧石器時代のスンダランドに起源をもつオーストラロ・メラネシア系集団と中石器時代の東南アジア先住民に限られ、現代東南アジア人の歯の形態は、後に移住してきたSinodont型歯列をもつ北方アジア人との混血により生じた両者の中間型歯列にすぎないという見方がなされた。現代東南アジア人と類似する歯の形態をもつ縄文人の成り立ちも、同様の解釈がなされた。一方、頭骨形態の分析からも、東南アジアでの新石器時代以前のマレーシアのグアグヌン遺跡、タイのモキュウ人遺跡やベトナムのボアビン文化期の遺跡などから出土している人骨は、オーストラロ・メラネシア系集団と強い類縁関係が示唆された。また新石器時代の東南アジア人や縄文人の頭骨は、これらのオーストラロ・メラネシア系集団と北方アジア系集団の中間的特徴をもっており、両者の混血の初期段階の集団と位置づけられた。
著者
針生 寛之
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

さまざまな正常組織と腫瘍組織におけるHLA class I関連分子の発現を検索し、ほとんどの癌種で約3割に発現低下があることを見出した。乳癌と前立腺癌では約8割にHLA発現消失または発現低下が認められた。乳癌と前立腺癌におけるHLA発現低下の分子機序を解析した結果、主にB2-microglobulin遺伝子のピストン脱アセチル化が原因であることが判明した。Geneticな変化や遺伝子メチル化の関与は低かった。ヒストン脱アセチル化機序による乳癌細胞の免疫逃避の解析を行い、HLA class I分子以外に、NK細胞標的分子、Immunodominantな癌抗原分子、Death受容体分子なども発現低下していることを見出した。ヒストン脱アセチル化阻害剤を作用させるとこれら分子の発現が回復した。ヒストン脱アセチル化阻害剤自体はT細胞機能に影響を及ぼさないことを証明し、癌免疫逃避を抑制する新たな免疫療法を提唱した。
著者
斉藤 豪 鳥越 俊彦
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では3次元培養から得られたSphere細胞よりRNAを回収し、がん幹細胞関連遺伝子を定量的RT-PCRにて解析した。得られた候補cDNAより子宮頸癌により特異的に発現しているcDNAをピックアップして以後の実験に用いた。さらにcDNA産物をターゲットとして研究を進め、これらの蛋白の塩基配列からHLA-A24結合モチーフを持つペプチドを合成した。これらを用いて特異的な細胞障害性T細胞による癌免疫を誘導しうるエピトープを検索しこの一部が末梢血単核球のうちCD8-細胞をPHA刺激により抗原提示細胞であるPHA blastに誘導し、特異的なCTLの誘導することが明らかになった。
著者
中野 正子
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、65歳以上の一般高齢者に対しマインドフルネスに行い、認知機能への影響および血中エクソソームに含まれるmicro RNAの変化を検索する。マインドフルネスは、ボディースキャン・ヨガ・静座瞑想から構成される瞑想法で、認知症発症を抑制することが知られているが、そのメカニズムは明らかとなっていない。本研究によって、マインドフルネスによる認知機能向上とmicro RNAとの関連が証明できれば、エビデンスの確立した認知症予防法として提言できると考えられる。
著者
鳥越 俊彦 佐藤 昇志
出版者
札幌医科大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

HIVに対するprotein therapyを考案し,その基礎的研究を進めている.(1)HIV tat蛋白質の11アミノ酸から成る細胞膜透過ドメインと,GFP蛋白質との融合蛋白質を作成し,細胞内への浸透性について解析した.Tat-GFPは細胞膜を透過しなかったが,Tat-Survivin-GFP蛋白質は透過した.Tat濃度依存性,温度感受性を確認した.ドミナントネガティブSurvivin蛋白質を腫瘍細胞に浸透させたところ,細胞にApoptosisを引き起こすことに成功した.(2)つぎに,Tat細胞膜透過ドメインを含む合成ペプチドが細胞膜を透過することを共焦点レーザー顕微鏡によって確認した.HIV nef蛋白質が発現を抑制するHLA-A分子の細胞質内ドメインから,HIV nef蛋白と会合すると予想される領域を推定し,この領域とTatドメインとの融合合成ペプチドを作成した.現在,Nef発現細胞を作成し,この合成ペプチドがNefの作用を抑制するかどうか実験を行っている.(3)細胞のapoptosisを促進するミトコンドリア蛋白質SmacのN末端機能ドメインとTatドメインとの融合合成ペプチドSmac7-Tatを作成した.このペプチドは細胞内に浸透し,細胞にapoptosisを引き起こすことを確認した.HIV proteaseが発現しているHIV感染細胞内で活性化するような,HIV protease認識配列を組み込んだTat-smac7ペプチドを設計した.これがHIV感染細胞に対して選択的にapoptosisを引き起こすことができるかどうか,今後,検証する.
著者
佐々木 優子 佐々木 祐典 小野寺 理恵 岡 真一 本望 修
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

これまでの研究から、老化により生体内のMSCが機能低下(stem cell failure)を起こすことが、個体の老化の原因となっていると考えており、本研究で、MSCの投与・補充による“抗加齢効果”をもたらす詳細なメカニズムを解析し、健康寿命の延長をもたらす治療薬の開発に展開することができると考えている。本研究の成果により、老化の本質が明らかとなり、健康寿命の延長が可能となれば、超高齢化社会を迎えているわが国において、大きな福音となり、波及効果は極めて高いと思われる。
著者
新谷 朋子
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小児の睡眠障害はアデノイド・扁桃肥大が原因となる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS : Obstructive Sleep Apnea Syndrome)が主である。アデノイド・扁桃摘出術によって、口呼吸、いびき、無呼吸、睡眠中の陥没呼吸、胸郭変形、夜尿、起床時の不機嫌、成長発育不良などが著明に改善することが臨床的に経験されるが、近年OSASによる行動異常(多動や攻撃性)、学習障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)との関連が指摘されている。終夜睡眠ポリグラフ、簡易検査であるヒプノPTT、行動評価としてアクティウオッチ、OSA-18を用いて、小児OSASの病態について検討した。簡易検査であるヒプノPTTを終夜睡眠ポリグラフに加えることによって、呼吸努力の評価が可能であった。OSA-18では睡眠や日中の行動、保護者の不安が有意に改善して、手術療法の効果が見られた。アクティウオッチは少数例にしか施行できず、24時間の使用が困難で十分な評価は難しかった。
著者
栗原 伴佳
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳血管における側副血行路は、虚血性脳卒中発症時に順行性血流の不足に対して機能する重要な代償機構である。本研究は、脳血管画像から3Dプリンターを用いて作成した脳血管モデル、流体解析による血流シミュレーションなどの技術を用いて、血管閉塞時の側副血行路による脳血流代償機能を非侵襲的に検出するという点に着目したはじめての研究であり、仮想血管閉塞モデルを作成することで、ある特定の血管閉塞時に低灌流で脳梗塞となりうる範囲の予測を目的としている。この予測をもとに、塞栓症罹患時のリスクを定量化し、抗血栓薬使用の適応決定の1つの指標とすることで、介護負担や医療費を削減することを目的とした。
著者
高橋 弘毅 黒木 由夫 白鳥 正典 千葉 弘文 工藤 和実 黒沼 幸治
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は急性肺障害でのToll様受容体(TLRs)の役割を明確にし、肺コレクチン、SP-Aによる抑制効果を臨床薬に応用する基盤的研究である。ブレオマイシン(BLM)投与SP-A ノックアウトマウスは野生型よりも死亡率が高く、肺内炎症性サイトカイン産生が増強された。BLM刺激でラット肺胞マクロファージから炎症性サイトカインが誘導され、SP-A添加で有意に抑制された。sTLR2遺伝子導入HEK293細胞では、BLM刺激でNF-kBが誘導された。BLMはsTLR2と直接結合し、それはSP-Aで阻害された。以上より、BLM誘導シグナルはTLR2依存性で、肺コレクチンはその阻害効果をもつことが示された。
著者
黒沼 幸治 高橋 弘毅
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

肺炎球菌感染症は重症化しやすく、侵襲性肺炎球菌感染症は致死率も高い。肺炎球菌感染症の莢膜血清型による重症度の違いが疫学研究により報告されており、 我々のサーベイランスにおいても肺炎球菌ワクチンの普及に伴い、北海道における侵襲性肺炎球菌感染症の血清型にも変化がみられている。肺コレクチンが肺炎球菌成分と特異的に結合し、また、マクロファージを活性化させて 菌の貪食に必要な受容体を増加させることで抗菌活性を発揮することを確認した。肺炎球菌の病態としてワクチン効果、宿主の免疫状態、肺コレクチンなどの制御因子との関連が重要であることが明らかとなった。
著者
井山 諭 佐藤 勉 小船 雅義
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

多発性骨髄腫の予後は新薬の登場によって改善されたものの、造血幹細胞移植を行ってすら治癒を得られる症例はなく、新たな機序の治療法が希求されている。我々はこれまでにDPP4ファミリーに属するDPP8/9の活性を阻害する1G244 は骨髄腫細胞にアポトーシス細胞死を誘導することを見出した。このことはDPP8/9 の阻害を機序とする新たな骨髄腫の治療を示唆していると考えている。そこで本研究では、1G244 の抗骨髄腫効果を検討し、更にそのシグナルを解析した。