著者
上田 勇仁 半田 純子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.543-556, 2022-09-10 (Released:2022-09-15)
参考文献数
21

プロジェクト学習における学習をKOLB の経験学習モデルに則して捉え,経験を概念化し他の状況に応用可能な知識などを構成するプロセスである抽象的概念化に着目した.高等教育の初年次教育科目で実施されたプロジェクト学習において,受講者が各回の授業終了後に記述する振り返り課題の記述内容を抽象的概念化とし先行実践を実施した.先行実践の結果を踏まえて抽象的概念化を支援する内省支援として振り返り課題を記述する際の記述指示を改善した.振り返り課題を評価するルーブリック評価表をもとに解釈と分析を促す記述指示を準備し,教育実践を通じて受講者からの評価,記述量,抽象的概念化の種別を検証した.その結果,改善した記述指示に対して9割以上の肯定的な意見があり, 授業の後半から改善した記述指示を取り入れた実践において記述量に有意な差が見られた.抽象的概念化に該当する記述については,「報告」の記述が減少し,「解釈」に関する記述が増加する傾向があったが「分析」については有意差を確認することはできなかった.
著者
上田 勇仁
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.133-136, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
4

プロジェクト学習など実習型式の授業において,リフレクションの重要性がこれまで指摘されてきたが,毎回の授業の終了後に実施する個人のリフレクションを検証した研究は少ない.本研究では,(1)プロジェクト学習における個人のリフレクションにどのような特徴があるのか明らかにし,(2)PBLの各学習活動が個人のリフレクションにどのような影響を与えるのか検証する.その結果,個人のリフレクションの特徴として「報告」「解釈」「計画」「応用」の傾向が明らかになり,各授業の学習活動のうち発表活動を設定した授業回においては,「応用」に関する記述数の頻度が向上することが確認された.