- 著者
-
上田 明広
小松 研一
髙橋 牧郎
- 出版者
- 日本神経学会
- 雑誌
- 臨床神経学 (ISSN:0009918X)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.2, pp.85-91, 2023 (Released:2023-02-25)
- 参考文献数
- 35
症例1は80歳女性.アルツハイマー病でドネペジル塩酸塩(donepezil hydrochloride,以下DNPと略記)を増量した2ヶ月後に首下がり症状が出現した.頸部伸筋のミオパチーを思わせる軽度の筋力低下やMRIでのT2高信号,針筋電図での筋原性変化を認めたが,DNP中止2ヶ月後に姿勢異常は消失した.症例2は78歳男性.レビー小体型認知症でレボドパ,プラミペキソール(pramipexole,以下PPXと略記)を服用していた.レボドパ減量4週後にDNPを開始,10日後に右前方への体幹屈曲が生じた.DNP・PPXの中止とレボドパ増量を行い5ヶ月後に姿勢異常はほぼ消失した.コリンエステラーゼ阻害薬の稀な副作用として体幹の姿勢異常が報告されており,注意が必要である.