著者
濱田 泰伸 坂谷 光則 上田 英之助
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.771-777, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

KL-6は間質性肺炎の血清中, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中において高値を示すことが報告されている. 今回各種の間質性肺炎において血清中, BALF中のKL-6の測定を行い, BALF中の細胞数および呼吸機能検査など臨床的パラメーターと比較しその有用性について検討した. 間質性肺炎患者の血清中KL-6値は高率に高値を示し, BALF中のリンパ球数と有意の正相関を認めた. さらに, 経過を追って血清KL-6を測定しえた間質性肺炎患者において, KL-6の変動はその臨床経過をよく反映していた. 一方, BALF中KL-6値も間質性肺炎患者で高値を示し, BALF中の総細胞数, リンパ球数, 好中球数および好酸球数と有意の正相関を認めた. 血清中, BALF中KL-6値は%VC, %DLCO, %DLCO/VAとの間にそれぞれ有意の負の相関を示した. KL-6は各種の間質性肺炎患者において, 胞隔炎の程度と呼吸機能の状態を反映するマーカーであり, 疾患活動性の有用な指標であると思われた.