著者
高橋 真 関川 清一 濱田 泰伸
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.23-30, 2017-03-31 (Released:2018-02-16)
被引用文献数
2

健康寿命の延伸に(有酸素)運動の効果が期待される昨今では、安全で適切な運動を実施、 指導する場面は内部障害患者などに留まらず、障害のおそれのある人々も含めて、対象は幅広い。そのため、多くの理学療法士にとって、運動時の循環応答とその調節機序に関する基礎的知識・ 理論の理解・応用が求められると考えられる。運動時には活動筋の酸素需要に応えるため、循環系は心拍出量を増大させ、血流の再配分を行い、より効率的に活動筋への血流を増加させる。本稿では、運動時の循環調節の基本的な事項を理解するため、まず、運動時の循環応答とその調節機序について、次いで自律神経性循環調節機構について概説する。
著者
濱田 泰伸 坂谷 光則 上田 英之助
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.771-777, 1996-07-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
20

KL-6は間質性肺炎の血清中, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中において高値を示すことが報告されている. 今回各種の間質性肺炎において血清中, BALF中のKL-6の測定を行い, BALF中の細胞数および呼吸機能検査など臨床的パラメーターと比較しその有用性について検討した. 間質性肺炎患者の血清中KL-6値は高率に高値を示し, BALF中のリンパ球数と有意の正相関を認めた. さらに, 経過を追って血清KL-6を測定しえた間質性肺炎患者において, KL-6の変動はその臨床経過をよく反映していた. 一方, BALF中KL-6値も間質性肺炎患者で高値を示し, BALF中の総細胞数, リンパ球数, 好中球数および好酸球数と有意の正相関を認めた. 血清中, BALF中KL-6値は%VC, %DLCO, %DLCO/VAとの間にそれぞれ有意の負の相関を示した. KL-6は各種の間質性肺炎患者において, 胞隔炎の程度と呼吸機能の状態を反映するマーカーであり, 疾患活動性の有用な指標であると思われた.
著者
濱田 泰伸 坂谷 光則
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.67-70, 1997-01-25 (Released:2016-10-01)
参考文献数
15

28歳の男性で銀ろう溶接作業中に金属フュームを吸入し, 急性間質性肺炎をきたした症例を経験したので報告する。入院時の胸部X線写真では両肺野にスリガラス状陰影を, 胸部CTでは散在性のground-glass opacityを認めた。呼吸機能検査では%VC 70.7%, %DLco 37.3%と拘束性換気障害および拡散能の低下を認めた。気管支肺胞洗浄液では軽度の好酸球増加を認め, 気管支鏡下肺生検ではリンパ球浸潤を伴った間質性肺炎像を認めた。発症後約2週間で無治療にて自覚症状, 呼吸機能, 画像上の改善を認めた。本症例の間質性肺炎は銀ろう溶接作業中に発生した金属フューム, 特にカドミウム, 亜鉛が原因と考えられた。
著者
上川 紀道 對東 俊介 高橋 真 関川 清一 濱田 泰伸
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.200-203, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
参考文献数
20

咳嗽は気道内分泌物や異物を除去する生体防御機構であり,肺炎などの呼吸器感染症,痰の貯留による無気肺や気道閉塞などの改善や予防のために重要な役割を担っている.随意的な咳嗽力の指標として咳の最大流量(Cough peak flow: CPF)がある.CPFは排痰能力や嚥下機能と関連性が高いことから,神経筋疾患患者や高齢者の症状の悪化や病態の進行を反映する指標として使用されている.CPFに影響を与える因子として肺気量,呼吸筋力,声門閉鎖能力,測定時の姿勢,体圧分散マットレスであるエアマットレスの硬さが報告されている.これらの因子を個別に評価し,可能な限り身体の機能を維持し,環境を改善することが有効な咳嗽を発生させるために重要である.