著者
嶋津 さゆり 吉村 芳弘 上野 いずみ 工藤 舞 白石 愛 備瀬 隆広 長野 文彦 濱田 雄仁
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.149-156, 2019 (Released:2020-02-05)
参考文献数
27
被引用文献数
6

【目的】脳卒中回復期における熊リハパワーライス®の臨床効果の検討.【対象と方法】2015年から2016年に連続入院した脳卒中回復期患者204人を対象とした後向きコホート研究.物性や分量,味や匂いを損なわず,軟飯に中鎖脂肪酸とたんぱく質を混ぜ込んだ熊リハパワーライス®を用い食事管理を行った患者群と,通常の食事管理を行った患者群の単変量解析,意識状態,嚥下レベル,栄養状態,日常生活自立度(FIM運動)等,12項目の傾向スコアでマッチングした2群間の検討と退院時FIM運動を従属変数とした多変量解析を行った.【結果】対象者は204人(平均年齢73.6歳,男性109人,女性95人),脳梗塞127人,脳出血62人,くも膜下出血15人.マッチング後(両群とも38人)では,熊リハパワーライス®摂取群は非摂取群と比較して多くのエネルギーを摂取し,体重と骨格筋量が増加,退院時の常食摂取の割合が高く,FIM運動が高かった(全てp<0.05).多重回帰分析では,熊リハパワーライス®摂取は退院時FIM運動に独立して関連していた(β=.169, p=0.02).【考察】熊リハパワーライス®は脳卒中回復期における栄養改善,身体機能改善に有効である.