著者
望月 聡 上野 洋子 佐藤 公一 樋田 宣英
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.495-500, 1999-05-15
被引用文献数
8 11

冬期および夏期に漁獲されたマサバを用い, 死後変化に対する貯蔵温度の影響を検討した。魚体が完全硬直に達するまでの時間は, 冬期夏期ともに5℃で貯蔵したときが最も長かった。背肉中のATP, IMP, イノシン, およびクレアチンリン酸の含量の変化は冬期では5℃で貯蔵したときに最も遅く, 夏期では0℃で貯蔵したときに比較して5℃および10℃で貯蔵したときの方が遅かった。K値は冬期夏期ともに10℃で貯蔵したときの上昇速度が速かった。筋肉破断強度の経時変化は冬期は顕著に, 夏期はわずかではあるが5℃で貯蔵したときに高い値を維持した。以上の結果から, マサバの死後変化を遅くするための貯蔵温度は, 漁期を問わず5℃程度が適当であると考えられた。