- 著者
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下向 東紅
徳田 一弥
古賀 新
稲富 秀雄
加納 康彦
- 出版者
- 日本繁殖生物学会
- 雑誌
- 家畜繁殖学雑誌 (ISSN:03859932)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.3, pp.133-139, 1990
前立腺の維持と発達を支配する主な因子はテストステロンで,これが前立腺で5α-レダクターゼによりジヒドロテストステロンに変換されて作用することは,知られている。5α-レダクターゼは,プロラクチンとテストステロンによって活性化されることが,報告されているが,前立腺の発達におけるプロラクチンの役割は不明の点が多い。<BR>マストミスは,雌にも二本の排泄管を有する,組織学的に機能的な前立腺を持つことを特徴とするネズミ科の動物である。本実験では,この動物雄,雌を供試して,前立腺の発達におよぼす,ホルモンの影響を検討した。供試動物に,去勢,脳下垂体前葉移植,テストステロン投与,プロモクリプチン投与の処置を単独または併用して施した。去勢によって前立腺重量は減少したが,テストステロンのみの投与によって回復したことから,前立腺は雌雄ともにアンドロジェンに依存していることが示された。さらに去勢動物に対する,脳下垂体前葉の移植によっても前立腺重量が回復した。この場合,反応は雄に比べて雌の方が大きかった。テストステロン投与あるいは脳下垂体前葉移植によって,上皮細胞の増殖が起こることも組織学的に認められた。これらの成績から,マストミスの,特に雌の前立腺の維持あるいは発達は,プロラクチンに対して感受性が高いと考えられ,これらの作用の影響を研究するためには,マストミスは,有用な動物であると考えられた。