著者
下坂 将史 呉 修一 山田 正 吉川 秀夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.106-122, 2009 (Released:2009-06-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本論文は,ダム貯水池の洪水調節機能向上を目的としダム放流量の新しい決定方法を提案するものである.著者らは従来から,現在まで降った降雨のうち確実にダム貯水池へ流入する量を,実際に流入する以前に放流する事前放流方法を提案している.本論文では,放流開始までの準備時間及び下流懸案地点における水位上昇速度を考慮してダムからの放流シミュレーションを行う.これにより各種法律,施設の放流能力,放流開始までの準備時間を考慮した実務に即した放流が可能な事を示すとともに,洪水低減効果向上のためには放流開始に要する準備時間を短くする必要がある事を示した.また,出水直前のダム貯水位が夏期制限水位以下の場合でも,初期水位低下量を考慮した事前放流を行うことで出水以降には夏期制限水位へと貯水位が回復することを明らかにした.