著者
下家 由起子
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.49-56, 2008

『断髪令』(明治4年)が厳しく実行された明治維新から干支が2周り以上した今でも、頭に日本伝統習俗のマゲをのこし、古式ゆかしい土俵の上で正々堂々の格闘を繰り広げている大相撲の世界。その力士たちのシンボルであるマゲを結っているのは、床山という専門家たちである。しかし、力士とマゲはあまりに密接すぎて逆に、彼ら床山の存在が世間から注目されることはほとんどなく、それは国技の縁の下の力持ち的存在である。今回は、大相撲の世界を陰で支えるそんな床山たちの今に注目し、彼らのプロ意識、技術、生活観についてアンケートを試みた。協力していただいた床山さんは20年以上の経験を持つベテランの人たちです。そこから感じ取れたのは、彼らの大相撲に対する並々ならぬ愛情と、自分の職業に対する高い誇りだった。私が調査をした日は奇しくも、史上初めて、新年度(平成20年=2008年)番付から2名の代表だけではあるが、床山の名が掲載されることを受け、床山会が自主的に床山全員を国技館に集めての、床山技術の講習会が行われた日だった。
著者
下家 由起子
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.65-74, 2007-03-20

江戸時代以来の伝統を、競技そのものにとどまらず風俗、習慣にまで色濃く留めている大相撲は、日本文化の面でも大いに魅力的な存在である。しかし時代も大きく変わり、若返りを繰り返してきた力士の生活環境、行動まで昔のままとは当然考えられない。彼らとて一般庶民と同じように現代人であるからである。力士たちが頭にのせているマゲに合わせて、着物で公式の場に登場しているのはよく知られているが、その日常生活における着衣は、和服一辺倒とは言い切れないものがある。本稿はそんな現代力士の「衣」に注目して、下着から着物まで調査と分析を試みる。そして相撲界における衣生活の歴史と礼法の基本を検証することで、最近乱れがちと識者より指摘を受けている彼らの「着装」に警鐘を鳴らすと同時に、将来も和服とともに生きていくであろう大相撲力士による正しい伝統の継承に大きな期待を託し、その今後に注目していこうとするものである。
著者
下家 由起子
出版者
山野美容芸術短期大学
雑誌
山野研究紀要 (ISSN:09196323)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-37, 2006-03-25

外国人力士の急増で、国技大相撲の危機が叫ばれている昨今だが、彼らはみな大相撲の世界に敢然と取組み、努力してきた男たちである。彼らはいい意味でハングリーで根性が座っている。立派な体に驚くほど、日本古来のマゲが似合ってきている。その意味では彼らによって日本の伝統が国際的に新たに認められ始めたといっても過言ではないだろう。ここに、現代に生きるマゲのひとつとして、力士の世界に見られる、マゲの魅力を再確認するために、マゲが日本から失われた時代と、この美風を残すためにがんばってきた先人の歴史と、力士マゲの今を考察する。