著者
湯本 英二 岡本 和憲 佐々木 裕美 丘村 熙
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.145-151, 1987-07-25 (Released:2010-06-22)
参考文献数
8
被引用文献数
1

H/N比計算法あるいは測定システムに由来する, 真のH/N比との差およびピッチや振幅の変動が測定値に与える影響等について検討し, 以下の結果を得た.(1) 平均波を用いて調波成分を推定することはみかけ上の調波成分エネルギーを増加させ従ってH/N比を大きくする. (2) 基本周波数および振幅のゆらぎは雑音成分として計算され従ってH/N比を小さくする.また, 正常声にみられる程度の基本周波数のゆらぎは振幅のゆらぎよりも雑音成分に大きく寄与していた. (3) AD変換を含めた測定システム全体の誤差は無視しうる程度であった.たとえば, 基本周波数160Hz, 基本周波数のゆらぎ0.5%, 振幅のゆらぎ0.1dBで真のH/N比が10dBの仮想的音声はH/N比法によって10.9dBと測定されることになっる.