著者
中井 敏夫
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.244-246, 1941
被引用文献数
1

長野縣田立村塚野(通稱ほつたて)産緑色ガトリン石及び帶褐緑色ガドリン石の分析を試み夫々第1.表,第2表の結果を得たり.又之等2種の鑛物に於けるランタニド元素の配分状應をX線スペクトルにより推定せり.<br>之等の鑛物のX線廻折寫眞は何れもガドリン石に一致せり.<br>緑色ガドリン石のラヂウム含量は2.75×10<sup>-8</sup>%なり.
著者
中井 敏夫
出版者
日本化學雜誌
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.126-132, 1939

試料岩石を溶液と爲してエマナチオンを抽出,其の放射能を測定し之よリラドンと平衡に在るラヂウムの量を求める.<br>試料を溶液とする方法として,先づ炭酸ナトリウムと熔融し融塊を水と鹽酸で抽出して後不熔の珪酸を弗化水素酸處理により除去し,更に殘滓に就て炭酸ナトリウム熔融を行ひ溶液とする炭酸ナトリウム熔融法と,先づ試料を硫酸,弗化水素酸にて處理して珪酸を除去せる後殘滓に就て炭酸ナトリウム熔融を行ひ溶液とする弗化水素酸處理法とに就て吟味を試みた.箱根火山熔岩13個,淺間火山熔岩7個に就ての測定の結果は弗化水素酸處理法による測定値は炭酸ナトリウム熔融法による測定値に比し常に小なる値が示された.一定既知量のラヂウムを含有するラヂウム溶液を用ひ,上記の試料溶液調製法を試みた結果,炭酸ナトリウム熔融法に於ては特にラヂウムの逸失は認められなかつたが,弗化水素酸處理法によるときは處理の途中に於て可成りの量のラヂウムが見掛け上失はれることが實證せられた.<br>ラヂウム含有10<sup>-13</sup>g Ra/g,及び10<sup>-12</sup>g Ra/gの岩石試料のラヂウム定量を行ふに當り,試料約20gをとり炭酸ナトリウム熔融法により溶液となし,之に就て測定を行ふときは測定誤差前者の場合に於て2&times;10<sup>-14</sup>g Ra/g,後者の場合に於て1&times;10<sup>-14</sup>g Ra/g以内にて測定が可能である.
著者
中井 敏夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.377-381, 1939 (Released:2009-12-22)
参考文献数
3

滿洲國奉天省海城縣より産出せる一放射性鑛物の化學分析を試みて第3表の結果を得,之によりて此の鑛物がユークセン石なることを確めたり.又X線スペクトルにより此の鑛物に於けるランタニド元素の配分状態を見たり.尚此の鑛物及びその外圍に附着せる分解生成物のラヂウム含量を測定し前者にありてはラヂウムとウランとはほぼ平衡にあれど,後者に於ては平衡にあらざることを指摘したり.又別に此の鑛物と共出する褐簾石のラヂウム含量をも定めたり.