著者
赤堀 四郎 桃谷 嘉橘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.608-611, 1943-05-28 (Released:2009-12-22)
参考文献数
13
被引用文献数
3

著者等は芳香族アルデヒドとアミノ酸との混合物を加熱するときは一般に次の如く反應してアルカミンを生ずることを認めた.〓R, R′はH或はCH3この反應によつてエフェドリン,ノルエフェドリン, 1-フェニル-1-オキシ-2-メチルアミノエタン, 1-アニシル-1-オキシ-2-メチルアミノエタン及びメチレンアドレナリンを合成することが出來た.
著者
中井 敏夫
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.244-246, 1941
被引用文献数
1

長野縣田立村塚野(通稱ほつたて)産緑色ガトリン石及び帶褐緑色ガドリン石の分析を試み夫々第1.表,第2表の結果を得たり.又之等2種の鑛物に於けるランタニド元素の配分状應をX線スペクトルにより推定せり.<br>之等の鑛物のX線廻折寫眞は何れもガドリン石に一致せり.<br>緑色ガドリン石のラヂウム含量は2.75×10<sup>-8</sup>%なり.
著者
中井 敏夫
出版者
日本化學雜誌
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.126-132, 1939

試料岩石を溶液と爲してエマナチオンを抽出,其の放射能を測定し之よリラドンと平衡に在るラヂウムの量を求める.<br>試料を溶液とする方法として,先づ炭酸ナトリウムと熔融し融塊を水と鹽酸で抽出して後不熔の珪酸を弗化水素酸處理により除去し,更に殘滓に就て炭酸ナトリウム熔融を行ひ溶液とする炭酸ナトリウム熔融法と,先づ試料を硫酸,弗化水素酸にて處理して珪酸を除去せる後殘滓に就て炭酸ナトリウム熔融を行ひ溶液とする弗化水素酸處理法とに就て吟味を試みた.箱根火山熔岩13個,淺間火山熔岩7個に就ての測定の結果は弗化水素酸處理法による測定値は炭酸ナトリウム熔融法による測定値に比し常に小なる値が示された.一定既知量のラヂウムを含有するラヂウム溶液を用ひ,上記の試料溶液調製法を試みた結果,炭酸ナトリウム熔融法に於ては特にラヂウムの逸失は認められなかつたが,弗化水素酸處理法によるときは處理の途中に於て可成りの量のラヂウムが見掛け上失はれることが實證せられた.<br>ラヂウム含有10<sup>-13</sup>g Ra/g,及び10<sup>-12</sup>g Ra/gの岩石試料のラヂウム定量を行ふに當り,試料約20gをとり炭酸ナトリウム熔融法により溶液となし,之に就て測定を行ふときは測定誤差前者の場合に於て2&times;10<sup>-14</sup>g Ra/g,後者の場合に於て1&times;10<sup>-14</sup>g Ra/g以内にて測定が可能である.
著者
藤田 安二
出版者
日本化學雜誌
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1213-1215, 1940

フィリッピン,ダバオ産サルピシア精油は<i>d</i>-Limonene30%, <i>d</i>-Perillaaldehyde大約65%よりなる.この精油の原植名は未だ不明である.なぼPerillaaldehydeの誘導體中<i>p</i>-Nitropheny1hydrazone, 2-4-Dinitrophenylhydrazone, &beta;-Naphthochinchoninieacid等の新誘體が作られた.
著者
奥野 久輝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.23-26, 1942 (Released:2009-12-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2

明礬溶液250cc(アルミニウム0.1~1.5mg)に炭酸アムモニウム飽和溶液5ccとヘマトキシリン0.1%溶液2~10ccを加へて15分間放置し,後醋酸(1:2) 5ccを加へて酸性にするときは美しい赤紫色を呈する.この溶液を試藥として弗素を含む溶液に加へるときは,弗素の含量に應じて赤紫色が褪色して赤褐,褐,黄等の色を示す.この弗素の作用を利用して甚だ鋭敏な檢出及比色定量法を考案した.アルミニウムとヘマトキシリンの量を適當に撰ぶことにより數種の試藥が得られ更に供試液に對して加へる試藥の量を加減することにより, 0.001mg/50cc以上の弗素の種々な濃度に亘つて比色を行ひ得る.弗素はF′としても,またSiF″としても同様である.普通の陸水中に含有せらるゝ程度の他成分は本比色法の妨害とならない.
著者
森川 清 木本 寅喜 阿部 良之助
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.150-155, 1941

第一報に於て<sub>1)</sub>水素添加法に依る有機物中酸素の直接定量法を試み最適分析條件を決定した.本報では白金シリカゲル上の熱分解機構を實驗に依て解析的に檢討すると共に計算に依て化學平衡論的方面から精細に考察して本分析法の原理を明確にした.
著者
五嶋 孝吉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.705-706, 1939 (Released:2009-12-22)
参考文献数
4

本邦各地に於ける水道水を夫々充分に精製したる後,其の密度を同様の方法によりて精製したる大阪水道水と石英浮秤を用ひて比較した.試料採集地は次の9ケ所である.東京,大阪,室蘭,新潟,徳山,門司,鹿兒島,基隆,高雄.其の結果によれば此等各地の水道水の密度の間には實驗誤差±0.5γの範圍に於て何等差異をも發見しなかつた.よつて此等各地の水道水は何れも同位元素組成が同一であるものと考へられる.
著者
中井 敏夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.377-381, 1939 (Released:2009-12-22)
参考文献数
3

滿洲國奉天省海城縣より産出せる一放射性鑛物の化學分析を試みて第3表の結果を得,之によりて此の鑛物がユークセン石なることを確めたり.又X線スペクトルにより此の鑛物に於けるランタニド元素の配分状態を見たり.尚此の鑛物及びその外圍に附着せる分解生成物のラヂウム含量を測定し前者にありてはラヂウムとウランとはほぼ平衡にあれど,後者に於ては平衡にあらざることを指摘したり.又別に此の鑛物と共出する褐簾石のラヂウム含量をも定めたり.
著者
野口 喜三雄
出版者
日本化學雜誌
雑誌
日本化學會誌 (ISSN:03694208)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.7-17, 1939

(1) 淺間火山附近諸種湧水,井戸水,河水等33種のラドン含有量を測定したるに河水は此測定法の精度に於ては零であつた.湧水,井戸水等に於ては測定値の最大は小瀬温泉1.25マツヘ,最小は片山要藏氏井戸水,つるや旅館井戸水等の0.05マツヘである.著者は之等33種の測定結果よりラドン分布を圖示し,且ラドン含有量と水温, <i>p</i>H,溶在瓦斯量・重水濃度,蒸發殘滓, Fe, Ca, Cl, SiO<sub>3</sub>等との間の關係の有無を檢討し,其結果よリラドンの根源に就て論述した.<br>(2) 著者は地獄谷噴氣孔溜水及び地獄谷湧水に就て稍長期のラドン含量連續測定を行つた結果,地獄谷噴氣孔溜水に就てはラドン含有量は淺間火山の活動の旺盛である時は著しく増減する.ラドン含有量と水温との間には統計的に觀察する時は一つの曲線關係が成立し,水温が低下するほどラドン含有量は増加する傾向を示した.又ラドン含有量と湧水量との間には統計的に觀察する時は直線關係がほぼ成立し,湧水量増加するほどラドン含有量増大する傾向を示した.尚測定値の最大は0.31マツへ,最小は0.07マツへである.次に地獄谷湧水に就てはラドン含有量と淺間火山の活動との間には關係なく,又ラドン含有量と水温,湧水量等との間にも關係は見出せない.此湧水のラドン測定値の最大は0.23マツへ,最小は0.05マツへである.<br>(3) 菱野鑛泉(花崗宇三郎),地獄谷蛇堀川源水,蛇堀川端湧出水(橋の測I)等に就ては其ラドン含有量を昭和11年及び昭和12年の二囘測定したが大なる變化を示さない.