著者
瀬田 益道 中井 直正 山内 彩
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

近年の技術発展でサブミリ波からテラヘルツ帯での天体観測が現実的となった。ところが、この帯域は大気の吸収が強く観測可能な地は限られていた。我々は寒冷な高地である、南極大陸内陸部に着目してきた。サイト調査として、南極ドームふじで220GHzの大気透過率を測定したところ、地上最良と思われ大型干渉計ALMAの建設の進むチリ北部の砂漠地帯よりも優れていることを示した。ドームふじでの天体観測用に30cm望遠鏡を開発した。500GHz受信機を搭載し、天の川の一酸化炭素及び炭素原子の観測を行う。実験室での評価試験を経て、スイスアルプス及び南米のチリで試験観測を行った。
著者
中井 直正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本科学研究費補助金による研究の目的は、20GHz帯受信観測システムを開発製作し、筑波大学の近くにある国土地理院つくば32m鏡に搭載して電波望遠鏡として整備し、水メーザーの観測からセイファート銀河中心核の構造を明らかにすることである。特にセイファート銀河の1型(可視光のスペクトル線が極めて広い)と2型(狭い)の違いが従来言われていた降着円盤を見る角度が異なるため(統一モデル)だけではなく、降着円盤の厚さに薄いものと厚いものがあり、降着円盤を同じ斜めの方向から見たとしても薄いものは1型に、厚いものは2型に見えるという我々の仮説を立証することが目的である。研究成果の主なものは以下のとおりである。1.国土地理院32mアンテナに20GHz帯受信観測システムを開発製作し搭載した。アンテナの主ビームの半値幅(角度分解能)はHPBW=100"、主ビーム能率と開口能率は仰角40度付近でそれぞれ50%と42%である。受信機の周波数帯域は19.5-25.2GHzであり、中間周波数は4-8GHzである。大気込みのシステム雑音温度は冬季天頂で60-80K程度と良好な値が得られた。分光計はフーリエ変換型デジタル分光計で周波数帯域幅1GHzを1万6千点の分光を行う。望遠鏡制御ソフトウェアーシステムもVLBI(超長基線電波干渉計)観測とは独立に、単一鏡観測用に独自開発を行った。これらにより、22.235GHzにある水メーザーの定常観測が可能となった。2. 開発した上記観測システムによりセイファート銀河の水メーザーの速度モニターを開始した。またVLBI観測により2型セイファート銀河IC1481の水メーザー円盤が厚いものであることを明らかにし、我々の仮説を証明した。