- 著者
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中井 良太
- 出版者
- 千葉大学大学院人文社会科学研究科
- 雑誌
- 千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.214-228, 2011-09
リバタリアニズムが実行可能性のある社会理論であるためにはその社会を維持し、安定させることが必要であると考えられる。そのためには一定数のリバタリアニズムの想定する個人が必要である。これらの個人はどのような人間か、また彼らは何処からやって来るのかについてリバタリアニズムは答える必要がある。S. Horwitz はハイエクの業績に依拠しつつ家族が子供を「ミクロ秩序とマクロ秩序の二つの世界で同時に生活出来る」ようにするミクロ-マクロ・ブリッジとして機能すると議論する。この議論が先の問いに答える上で有益であると考えられる。彼の議論は家族を市場と相補的なものとして位置付けるものであり、リバタリアニズムにも親和的である。更に、この「二つの世界で同時に生活する」というアイディアは人間の多様性を真剣に受け止めるリバタリアンな人間象として採用することが可能であるように思われる。